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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
二刀流
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た人間だ。ネザーに愚か者呼ばわりされても仕方ない卑怯者だ。
そんな俺に、仲間を__ましてやそれ以上の存在を求める資格などない。俺はすでに、そのことで取り返しのつかない形で思い知らされている。同じ過ちを二度と繰り返さない、もう誰の心も求めないと、俺は固く誓ったつもりだった。
なのに。
強張った左手は、どうしてもアスナの肩から離れようとしない。触れ合う部分から伝わる仮想の体温を、どうしても引き剥がすことができない。
巨大な矛盾と迷い、そして名付けられない1つの感情を抱えながら、キリトは短く答えた。
「……わかった」
コクリ、と肩の上でアスナが頷いた。
翌日。
キリトは朝からエギルの雑貨屋お2階にしけ込んでいた。揺り椅子にふんぞり返って足を組み、店の不良在庫なのだろう奇妙な風味のお茶を不機嫌に
啜
(
すす
)
る。
既にアインクラッド中が昨日の事件で持ち切りだった。
フロア攻略、新しい街へのゲート開通だけでも充分な話題なのに、今回は色々オマケがあった。
曰
(
いわ
)
く《軍の大部隊を全滅させた悪魔》、曰く《それを単独撃破した二刀流使いの50連撃》。尾びれが付くにもほどがある。
どうやって調べたのか、キリトのねぐらには早朝から剣士やら情報屋が押しかけてきて、脱出するのにわざわざ転移結晶を使う破目になったのだから。
今だけは、あの謎の《赤いスピードスター》が羨ましく思える。彼のことがアインクラッド中に知れ渡った時も、今のキリトと同じ状況にあったのだろう。情報屋なんかも、もっと詳しい情報を入手しようとしていたくらいだった。だが比べるなら、キリトのほうが最悪だった。プレイヤーの中にはスピードスターをデマ呼ばわりする者と、その存在を信じる者の2つに別れていた。《二刀流》ほどの信憑性があまり感じられないため、何かのバグまたはコスプレをしたプレイヤーなどと言われている。その上、キリトの二刀流は《ユニークスキル》であるが故に信憑性が高かった。
「引っ越してやる……どっかすげえ田舎フロアの、絶対見つからないような村に……」
ブツブツ呟くキリトに、エギルがニヤニヤと笑顔を向けてくる。
「まあ、そう言うな。一度くらいは有名人になってみるのもいいさ。どうだ、いっそ講演会でもやって大儲けするのは。会場とチケットの
手筈
(
てはず
)
は俺が」
「するか!」
叫び、キリトは右手のカップをエギルの頭の右横50センチを狙って投げた。が、染み付いた動作によって投剣スキルが発動してしまい、輝きながら猛烈な勢いですっ飛んだカップは、部屋の壁に激突して大音響を撒き散らした。
幸い、建物本体は破壊不能なので、視界に【Immortal Object】のシステムタグが浮かんだだけだった
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