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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
二刀流
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漏らしながら、悪魔は再び上段の斬り下ろし攻撃を放ってきた。今度は、両手の剣を交差してそれをしっかりと受け止め、押し返す。奴の体勢が崩れたところを、キリトは防戦一方だった今までの借りを返すべくラッシュを開始した。

右の剣で中段を斬り払う。間を開けずに左の剣を突き入れる。右、左、また右。脳の回路が焼き切れんばかりの速度でキリトは剣を振るい続ける。甲高い効果音が立て続けに唸り、星屑(ほしくず)のように飛び散る白光が空間を焼く。

そんな光景に、俺やアスナ、部屋にいる者全員が驚きと呆然の(とりこ)になっていた。

しかし、キリトの攻撃を眼にして、俺はようやく悟った。あれはキリトの隠し技、エクストラスキル《二刀流》だということを。その上位剣技《スターバースト・ストリーム》。連続16回攻撃。

「うおおおあああ!!」

途中の攻撃がいくつか悪魔の剣に(はば)まれるのも構わず、キリトは絶叫しながら左右の剣を次々と悪魔の体に叩き込み続けた。視界が灼熱(しゃくねつ)し、最早(もはや)敵の姿以外何も見えない。悪魔の剣が時々キリトの体を捉える衝撃すら、どこか遠い世界の出来事のように感じる。全身をアドレナリンが駆け巡り、剣撃を敵に見舞う 度たびに神経がスパークする。

速く、もっと速く。限界までアクセラレートされた俺の神経には、普段の倍速で二刀を振るうそのリズムすら足りない。システムのアシストをも上回ろうかという速度で攻撃を放ち続ける。

「ぁぁぁああああああ!!」

雄叫びと共に放った最後の16撃目が、グリームアイズの胸の中央を貫いた。

「ゴァァァアアアア!!」

気づくと、絶叫しているのははキリトだけではなかった。天を振り仰いだ巨大な悪魔が、口と鼻から盛大な噴気を漏らしつつ咆哮している。

その全身が硬直した__と思った瞬間。

グリームアイズは、膨大な青い欠片、ポリゴン片となって爆散した。部屋中にキラキラと輝く光の粒が降り注ぐ。

「終わった……のか……?」

キリトは戦闘の余熱による眩暈(めまい)を感じながら、無意識のうちに両の剣を斬り払い、背に交差して吊った鞘に同時に収めた。ふと自分のHPバーを確認する。赤いラインが、数ドットの(はば)で残っていた。他人事のようにそれを眺めながら、キリトは全身の力が抜けるのを感じて、声もなく床に転がった。

意識が暗転した。











「……くん!キリト君ってば!!」

悲鳴にも似たアスナの叫びに、キリトの意識は無理矢理呼び戻された。眼をゆっくりと開けながら少しずつ見えてきたのは、ペタリとしゃがみ込み、今にも泣き出す寸前のように眉根(まゆね)を寄せ、唇を噛み締めているアスナの顔と、その隣でしゃがみ込んだままキリトの顔をジッと覗いて
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