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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
軍の意向
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報だ。トレジャーボックス狙いの鍵開け屋の間では高値で取引される。

クラインの声を聞いた途端、コーバッツは片方の眉をピクリと動かし、グイッと(あご)を突き出すと。

「我々はキミら一般プレイヤーのために戦っている!」

大声で張り上げた。続けて。

「諸君が協力するのは当然の義務である!」

「なら自分でマッピングしろ」

と俺が言うが、相手は聞く耳を持たない。

傲岸不遜(ごうがんふそん)とはこのことだ。ここ1年、軍が積極的にフロア攻略い乗り出してきたことはほとんどなかった。

「ちょっと、あなたねえ……」

「て、てめぇなぁあ……」

左右から激発寸前の声を出すアスナとクラインを、キリトは両手で制した。

「よせ。どうせ街に戻ったら公開しようと思っていたデータだ、構わない」

「おいおい、そりゃあ人が()すぎるぜキリト」

「マップデータで商売する気はないよ」

言いながらトレードウィンドウを出し、コーバッツに迷宮区のデータを送信する。コーバッツは表情1つ動かさずそれを受信すると、「協力に感謝する」と感激の気持ちなど欠片も無さそうな声で言い、クルリと後ろを向いた。その背中に向かって俺が声を掛ける。

「お前らじゃボスに挑むのは無理だ。呆気(あっけ)なく()られるのが眼に見えてる」

コーバッツはわずかにこちらを振り向いた。

「……それは私が判断する」

ボスに挑むつもりだと悟ったキリトが退き止めようと声を掛ける。

「さっきボス部屋を覗いたけど、生半可(なまはんか)な人数でどうにかなる相手じゃない。仲間も消耗してるみたいじゃないか」

「……私の部下はこの程度で()を上げるような軟弱者(なんじゃくしゃ)ではない!」

部下、という所を強調してコーバッツは(いら)()ったように言ったが、床に座り込んだままの当の部下達は同意しているようには見えなかった。

「貴様ら、さっさと立て!」

というコーバッツの声にノロノロと立ち上がり、二列縦隊に整列する。コーバッツは最早(もはや)こちらには眼もくれずその先頭に立つと、片手を上げてサッと振り下ろした。12人はガシャリと一斉に武器を構え、重々しい装備を鳴らしながら進軍を再開した。

見かけ上のHPは満タンでも、SAO内での緊迫した戦闘は眼に見えぬ疲労を残す。現実の世界に置き去りの肉体はピクリとも動いていないはずだが、その疲労感はこちらで睡眠・を取るまで消えることはない。俺が見たところ、軍のプレイヤー逹は慣れぬ最前線での戦闘で限界近くまで消耗しているようだった。

「……大丈夫なのかよ、あの連中……」

軍の部隊が上層部へと続く出口に消え、規則正しい足音も聞こえなくなった頃、クラインが気遣わしげ
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