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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
軍の意向
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、「そうなのか?」とクラインに訊いた。

「おう、本当だぜ。まったく思いがけない出会いをしちまったっぜ。どうせなら美人な女性と出会いたかったぜ」

と、クラインの冗談なのか願望なのかわからない台詞を聞いて、俺1人を除いた全員が苦笑いをした。

その時。

先ほどクライン達がやってきた方向から、新たな一団の訪れを告げる足音と金属音が響いてきた。やたらと規則正しいその音に、アスナが緊張した表情でキリトの腕に触れ、(ささや)いた。

「キリト君、あれ!」

ハッとして入り口を注視(ちゅうし)すると、果たして現れたのは者達は、俺が先ほど森で見かけた《軍》の重装部隊だった。クラインが手を上げ、仲間5人を壁際に下がらせる。例によって二列縦隊で部屋に入ってきた集団の行進は、しかし森で見た時ほど整然とはしていなかった。足取りは重く、ヘルメットから覗く表情にも疲弊(ひへい)の色が見て取れる。

安全エリアの、俺達とは反対側の端に舞台は停止した。先頭にいた男が「休め」と言った途端、残り11人が盛大な音と共に倒れるように座り込んだ。男は、仲間の様子に眼もくれずにこちらに向かって近づいてきた。

よくよく見ると、男の装備は他の11人とはやや異なるようだった。金属鎧も高級品、胸部分には他の者にはない、アインクラッド全景を意匠化したような紋章が描かれている。

男は俺達の前で立ち止まると、ヘルメットを外した。歳は30代前半といったところだ。ごく短い髪に角張った顔立ち、太い(まゆ)の下には小さく鋭い眼が光り、口元は固く引き結ばれている。ジロリとこちらを睥睨(へいげい)すると、男は先頭に立っていた俺に向かって口を開いた。

「私は《アインクラッド解放軍》所属のコーバッツ中佐だ」

なんと。《軍》というのは、その集団外部の者が揶揄(やゆ)的につけた呼称のはずだったが、いつから正式名称になったのだろう。その上《中佐》と来た。俺は嫌気をさしながら、「ネザー。ソロだ」と短く名乗った。

コーバッツは軽く頷き、横柄(おうへい)な口調で訊いてきた。

「キミらはものこの先も攻略しているのか?」

「……こいつに訊け」

俺は面倒事を押し付けるように、後ろに立っていたキリトを指差す。

キリトは嫌々といった感じで仕方なく面倒事を引き受けた。

「……俺は、ボス部屋の手前まではマッピングしてある」

「うむ。では、そのマッピングデータを提供してもらいたい」

当然だ、と言わんばかりの男の台詞に俺も少なからず驚いたが、後ろにいたクラインはそれどころではなかった。

「な……て……提供しろだと!?てめえぇ、マッピングする苦労がわかってんのか!?」

胴間声(どうまごえ)(わめ)く。未攻略区域のマッピングデータは貴重な情
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