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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
軍の意向
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わず2人は、カリスの時のように同時にビクリと体を(すく)ませてしまう。

すぐに、少し離れた場所にまた2つ炎が(とも)った。そしてもう一組。更にもう一組。

ボボボボボ……という連続音と共に、、たちまち入り口から部屋の中央に向かって真っ直ぐに炎の道が出来上がる。最後に一際(ひときわ)大きな火柱が吹き上がり、同時に奥行きのある長方形の部屋全体が薄青い光に照らし出された。かなり広い。マップの残り空白部分がこの部屋だけで埋まるサイズだ。

アスナが緊張に耐えかねたように、キリトの右腕にギュッとしがみついた。だがキリトにもその感触を楽しむ余裕など微塵(みじん)もない。なぜなら、激しく揺れる火柱の後ろから徐々(じょじょ)に巨大な姿が出現しつつあったからだ。

見上げるようなその体躯(たいく)は、全身縄のごとく盛り上がった筋肉に包まれている。肌は周囲の炎に負けぬ深い青、分厚い胸板の上に乗った頭は、人間ではなく山羊(やぎ)のそれだった。

頭の両側からは、ねじれた太い(つの)が後方にそそり立つ。眼は、これも青白く燃えているかのような輝きを放っているが、その視線は明らかにこちらにひたと()えられているのがわかる。下半身は濃紺(のうこん)の長い毛に包まれ、炎に隠れてよく見えないがそれも人ではなく動物のもののようだ。簡単に言えば、悪魔の姿そのものである。

入り口から、奴のいる部屋の中央まではかなりの距離があった。にも関わらず俺達2人は、(すく)んだように動けなかった。今までそれこそ無数のモンスターと戦ってきたが、悪魔型というのは初めてだ。色々とRPGでお馴染みと言ってよいその姿だが、こうやって直接対面すると、体の内側から湧き上がる原始的な恐怖心を抑えることができない。

恐る恐る視線を()らし、出てきたカーソルの文字を読む。【The Gleameyes】、間違いなくこの層のボスモンスターだ。名前に定冠詞(ていかんし)がつくのはその証である。グリーム・アイズ……輝く眼、という意味だ。

そこまで読み取った時、突然青い悪魔が長く伸びた鼻面(はなづら)を振り上げ、(とどろ)くような雄叫びを上げた。炎の行列が激しく揺らぎ、ビリビリという振動が床を伝わってくる。口と鼻から青白く燃える呼気(こき)を噴出しながら、右手に持った巨大な剣をかざし、真っ直ぐこちらに向かって、地響きを立てつつ猛烈なスピードで走り寄ってきた。

「うわああああ!」

「きゃああああ!」

2人は同時に悲鳴を上げ、クルリと向き直ると全力でダッシュした。ボスモンスターは部屋から出ない、という原則を頭ではわかっていても、とても踏みとどまれるものではない。鍛え上げた敏捷度(びんしょうど)パラメータに物を言わせ、キリトとアスナは長い回廊を疾風の如く駆け抜け、遁走(
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