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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
白黒の交流
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されている。

最初はでまかせだと思われていた噂だが、次第に目撃情報も増え、それを立証する映像もネットに流れている。今では何人ものユーザーがSNSで噂するようになり、ブログ記事まで書かれるようになった。

「わたしも聞いたことあるけど、キリト君が見たのが本当に噂の赤いスピードスターなら……ちょっと会ってみたいかも」

「同じ閃光の異名を持つから?」

アスナの心臓が一瞬、ドキッと高鳴った。

「ち、違うわよ!ただ単純に会ってみたいだけ」

半分は疑わしかった。

「まあ、その謎のモンスターを撃退しているのが、その赤いスピードスターのようだし、当面の安全は保障できると思うがな。それに、安全マージンは充分取ってるよ。忠告はありがたく頂いておくけど……さっきも言ったように、ギルドはちょっとな。それに……」

ここでよせばいいのに強がって、キリトは余計なことを言った。

「俺の場合、パーティーメンバーってのは、助けよりも邪魔になることのほうが多い」

「あら」

チカッ、と目の前を銀色の閃光がよぎった。

と思った時には、アスナの右手に握られたナイフがピタリとキリトの鼻先に()えられていた。

細剣術の基本技《リニアー》だ。基本とは言え、圧倒的な敏捷度(びんしょうど)パラメータ補正のせいで凄まじいスピードである。正直なところ、技の軌道はまったく見えなかった。

引きつった笑いと共に、キリトは両手を軽く上げて降参のポーズを取った。

「……わかったよ。アスナは例外だ」

「そ」

面白くもなさそうな顔でナイフを戻し、それを指の上でクルクル回しながら、アスナはとんでもないことを口にした。

「なら、しばらくわたしとコンビ組みなさい。キミがどれほど強い人なのか確かめたいと思ってたとこだし。わたしの実力もちゃんと教えて差し上げたいし。それに、今週のラッキーカラー黒だし」

「な、なんだそりゃ!」

あまりの理不尽な言い様に思わず()け反りつつ、必死に反対材料を探す。

「んなこと言ったってお前、ギルドはどうするんだよ?」

「うちはレベル上げノルマとかないし」

「じゃ、じゃああの護衛は?」

「置いてくるし」

時間稼ぎのつもりでカップを口に持っていってから、空であることに気づく。アスナがすまし顔でそれを奪い取り、ポットから熱い液体を注ぐ。

正直、魅力的な誘いではある。アインクラッドで一番、と言ってもよい美人とコンビを組みたくない男なんているとは思えない。約1名__ネザーを除いて。

根暗(ねくら)なソロプレイヤーとして憐れまれているのだろうか。後ろ向きな思考にとられながら、うっかり口にしてしまった台詞が命取りだった。

「最前線は危ないぞ」


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