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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
白黒の交流
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。着替えと言っても実際に脱いだり着たりする動作があるわけではなく、ステータスウィンドウの装備フィギュアを操作するだけなのだが、着衣変更の数秒間は下着姿の表示になるため、女性は人前で着替え操作をすることはない。

仮想世界の肉体は3Dオブジェクトのデータにすぎないと言っても、2年も過ごしてしまうとそんな意識すら薄れかけ、今もアスナの惜しげも無く剥き出しにされた手足に自然と眼が行ってしまう。

そんなキリトの内的な葛藤(かっとう)を知るよしもないアスナは、ジロッと視線を投げて言った。

「キミもいつまでそんな格好してるのよ」

キリトは慌ててメニュー画面を呼び出すと、(かわ)の戦闘用コートと剣帯などの武装を解除した。ついでにアイテムウィンドウに移動し、《ラグー・ラビットの肉》をオブジェクトとして実体化させ、陶製のポットに入ったそれを目の前のテーブルに置く。

アスナは神妙な気持ちでそれを手に取り、中を覗き込んだ。

「これが伝説のS級食材かー。……で、どんな料理にする?」

「シェフのお任せコースで頼む」

「そうね……じゃあシチューにしましょう。ラグー__煮込むって言うくらいだからね」

そのまま隣の部屋に向かうアスナの後にキリトもついて行く。

キッチンは広々としていて、巨大な(まき)オーブンが(しつら)えられた(かたわら)には、一見してこれも高級そうな料理道具アイテムが数々並んでいた。アスナはオーブンの表面をダブルクリックの要領で素早く二度叩いてポップアップメニューを出し、調理時間を設定した後、(たな)から金属製の鍋を取り出した。ポットの中の生肉を移し、色々な香草と水を満たすと(ふた)をする。

「ほんとはもっと色々な手順があるんだけど。SAOの料理は簡略化されすぎててつまらないわ」

文句を言いながら、鍋をオーブンの中に入れて、メニューから調理開始ボタンを押す。30秒と表示された待ち時間にも彼女はてきぱきと動き回り、無数にストックしてあるらしい食材アイテムを次々とオブジェクト化しては、(よど)みない作業で付け合わせを作っていく。実際の作業とメニュー操作を1回のミスも無くこなしていくその動きに、キリトはついつい見とれてしまう。

わずか5分で豪華な食卓が整えられ、キリトとアスナは向かい合わせで席についた。眼前の大皿には蒸気を上げるブラウンシチューがたっぷりと盛り付けられ、鼻腔(びこう)を刺激する芳香(ほうこう)(ともな)った蒸気が立ち上がっている。照りのある濃密なソースに覆われた大振りな肉がゴロゴロと転がり、クリームの白い筋が描くマーブル模様が実に魅惑的だ。

2人はいただきますを言うのももどかしくスプーンを取ると、SAO内で存在し得る最上級の食い物であるはずのそれをあんぐりと頬(ほ
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