暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
S級食材
[1/9]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
《ソードアート・オンライン》というデスゲームが開始されて、すでに2年近くが経過。俺は相変わらず、最前線をソロで挑み続けている。

74層の《迷宮区》に棲息(せいそく)するリザードマンロードというモンスターとの戦闘を終え、帰り道と遠い記憶を同時に辿りながら10分ほども歩いた俺は、前方に出口の光を見出して息を吐いた。

物思いを振り払い、早足で通路から出ると、清新な空気を胸いっぱいに吸い込む。

眼前には、うっそうと茂る暗い森を貫いて1本の小路が伸びている。背後を仰ぎ見れば、今出てきたばかりの迷宮区が、夕暮れに染まる巨体を遥か上空__正確には次層の底までそびえさせている。

城の頂点を目指す、というゲームの構造上、この世界のダンジョンは地下迷宮ではなく巨大な塔の形を取っている。しかし、内部には野外(フィールド)よりも強力なモンスター群が徘徊(はいかい)し、最奥部(さいおうぶ)には恐ろしいボスモンスターが待つ、という定型は変わらない。

現在、この74層迷宮区は約8割が攻略__つまりマッピングされている。おそらくあと数日でボスの待つ大広間が発見され、大規模な攻略部隊が編成されることだろう。そこには、ソロプレイヤーである俺も参加することになる。

現在の俺のホームタウンは、50層にあるアインクラッドで最大級の都市《アルゲード》だ。規模から言えば《はじまりの街》のほうが大きいが、あそこは今や完全に《軍》の本拠地となっているため立ち入りにくい。

夕暮れの色が濃くなった草原を抜けると、節くれだった古樹が立ち並ぶ森が広がっている。その中を30分も歩けば74層の《主街区》があり、そこの《転移門》から50層アルゲードへと一瞬で移動することができる。

手持ちの瞬間転移アイテムを使えばどこからでもアルゲードへ帰還することができるが、いささか値が張るもので緊急の時以外は使いにくい。仮に転移アイテムを持っていなくても、俺には常に《スピード》がついている。

アインクラッド各層の最外周部は、数箇所の支柱部以外は基本的にそのまま空へと開かれた構造になっている。角度が傾きそこから直接差し込んでくる太陽光が、森の木々を赤く燃え立たせていた。幹の間を流れる濃密な霧の帯が、残照を反射してキラキラと(あや)しく輝く。日中はやかましかった鳥の声もまばらになり、吹き抜ける風が(こずえ)を揺らす音がやけに大きく響く。

ソロプレイヤーの俺は《策敵スキル》を鍛えている。このスキルは不意打ちを防ぐ効果ともう1つ、スキル熟練度が上がっていれば隠蔽(ハイティング)状態にあるモンスターやプレイヤーを見破る能力がある。やがて、10メートルほど離れた大きな樹の枝かげに隠れているモンスターの姿が視界に浮き上がった。

それほど大きくはない。木の葉に紛れる灰緑色の毛皮と、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ