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ViVi・dD・OG DAYS
第6話 召還と転送
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そう、最初のシンクの召還を済ませた時点では、召還について詳しく知る人物が存在しなかったと言うことを意味するのだ。
 つまり、シンクを最初に招いた段階では解決策を見出せなくて、頭を悩ませていたのだろう。
 自分達の世界では『こちらから招く』ことはあっても『向こうから来る』ことはない。
 そして召還こそが唯一の手段と考えていたのだった。

 だがしかし、そもそもトリル達は召還ではなく転送だと言っていた。
 それはフロニャルドでは考えられないのだが、相手は異世界なのであり得ることなのだろう。
 では仮に、召還ではない手段を用いたと仮定しよう。
 彼女は代表領主として各国問わず、大陸の情報に関しては把握している。だから異世界の来訪があれば耳に入るはず。
 だが、彼女が代表領主になってからの数年間に、そのような知らせを聞いたことがない。
 つまり異世界からの訪問自体が、この世界には皆無の現象なのだと思っていた。
 
 今回の訪問については、ナナミが彼女の知り合いからの提案を、シンクに話を通して、彼から自分へと舞い込んできたのである。
 つまりナナミの良く知る異世界の人物。それは地球の人間であると言うこと。
 そんな地球に住む人物が、フロニャルドの大地へと転送してくる。
 召還にしろ、転送にしろ――その類の現象は、人智を超えた神の力によるものだと彼女は思っていた。
 だが、シンク達に聞いている限りの地球には、神の力による現象など存在しないのだと言う。
 その時、思い至った事案――。
 シンクが最初に召還された時に、彼女達が初めて目にした『携帯電話』と言う地球の文明。
 彼はそれを『科学』と言うものだと教えてくれた。
 対する、フロニャルドの大地の与えし恩賞――フロニャ力のような存在を、地球では『魔法』と呼んでいるらしい。
 とは言え、魔法は空想の産物――現実には、地球では目にすることのない存在なのだと言う。
 つまり、今回の来訪はフロニャルドと同じような手段ではないのだと考えていた。
 それならばと、実際に目にした科学と言うものが、フロニャ力のような人智を超えた存在だと感じていた彼女は―― 
 もしや、科学とやらの力ならば可能なのでは? 
 そんな考えに至ったのだが、それを聞かれされた彼は、そこもまた魔法と同じで空想の域であると苦笑いを浮かべて教えてくれた。
 魔法は存在しない。科学でも不可能。
 では、どうやって来られるのだろう?
 そんな疑問に思っていた点も、トリルを始めとする来訪者達の話で理解できたのであった。

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