第6話 召還と転送
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できたのではなく、ただ彼女達の後ろを歩いていた彼には、彼女達の会話が丸聞こえだった。ただ、それだけなのである。
その話を聞いて、シンク達と大草原を目指している時に彼女が悩んでいた答えが出たのかも知れない。
彼女は、表情にこそ出さないのだが、心の中で晴れ晴れとした感情を抱いていたのであった。
☆★☆
シンクを始めとする勇者達3人。
更に言えば、パスティヤ−ジュ公国第一公女にして次期代表領主見習いの少女。
クーベル・エッシェンバッハ・パスティヤージュ。
クー様と言う愛称で呼ばれる彼女の先祖である――『英雄王』アデライド・グランマニエ。
彼女はパスティヤージュ『王国』としての最後の国王――クラリフィエ・エインズ・パスティヤージュが勇者召還で招いた元地球人でフランス出身の女性である。
つまり、英雄王と現在の勇者3名。この4人以外でフロニャルドに足を踏み入れた異世界の人物をミルヒは知らなかった。
そして、すべての訪問が勇者召還によるもの。それ以外にフロニャルドへ行き来できる方法など知らなかったのである。
――だからこそ、初めての勇者召還でシンクを招いた初日。
暢気に帰還の話を切り出し――勇者召還は片道切符。帰還の術など知らないとリコに言われ、顔を青ざめていたのだろう。
そう、彼女は他の手段はおろか、勇者召還のことさえも良く知らなかったから顔を青ざめていたのである。しかし、それもそのはず――。
勇者召還とは、フロニャルドの地より与えられた神の加護の力を借り、異世界へ通ずる時空の道を切り開いて、異世界の人物を招き入れること。
そのようなことが誰でも簡単に扱えるのであれば、私欲の為に扱う者が大陸へ戦慄を走らせかねない。
だから大陸広しと言えども、召還を行えるのは国の代表領主のみ。
そう、決して私欲の為ではなく、国の為。国の民の為。大陸を明るい未来へ導く為に与えられた特権なのだと思う。
そしてシンクがナナミと、2人の共通の親友にして、パスティヤージュ公国の勇者――。
レベッカ・アンダーソン――シンクとナナミからはベッキーの愛称で呼ばれている少女を連れ立って訪れた2度目の召還。
その時にシンク達勇者3人は初めてクーベル並びにパスティヤージュの人達と出会う。
そして彼女の歓迎により赴いたパスティヤージュ公国にて、全ての者達が英雄王と『魔王』ヴァレリア・カルバドス――
永き眠りから目覚めた英雄王・アデルと、魔王・ヴァレリーとの面識をもつこととなった。
英雄王が眠りにつく前。更に時間を遡り、彼女が勇者召還された時代――アデルがクラフィエの召還に応じた頃のことを知る者は、本人と魔王以外には此の地にはいない。
更に、アデル以降に召還で誰かを招いたことはない。
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