第2話 初めて ・ 久々 ・ フロニャルド
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答えている彼。
そんな焦り気味な彼の表情と、睨みを効かせている彼女を眺め、一瞬だけ苦笑いを浮かべると――
優しい微笑みで場を和ませようと、ミルヒは彼のフォローをする為、2人の空気の間に割って入ることにしたのだった。
「……確か、トリル様でしたよね?」
「――。…………」
「……は、はい、姫様。僕やベッキーも知り合いですけど、彼はナナミのアスレチック競技や棒術の先生なんです。とても優しいし、格好いいし……素敵な人ですよ?」
「そうなのですか? そんな方のお知り合いなら素敵な方達なのでしょう……エクレとリコもそう思いますよね?」
「……そうですね?」
「きっと、そうであります!」
ミルヒの割って入った言葉により、エクレはサッと姿勢を正して、ふくれっ面で彼を見ていた。
そんな彼女の表情の変化に、心なしか安堵の表情を浮かべた彼は「助かりました」と言わんばかりの笑顔を向けてミルヒにトリルの紹介をする。
彼の紹介を受けたミルヒは笑顔を浮かべて答えると、エクレとリコに賛同を求める。
彼女の言葉に「姫様には敵いませんね?」と言いたげな苦笑いを浮かべて賛同するエクレ。
そんな彼女に安堵しつつ、満面の笑みを溢しながら元気に言い切るリコ。
そんな会話をしながら、転送先である草原を目指して先を急ぐ4人なのであった。
☆★☆
時を同じくして――此処はシンク達の目指す、ビスコッティ共和国内の大草原。
その中央付近の大地に、突如巨大な円形の魔方陣が光を放って浮かび上がる。
やがて魔方陣の外周に添って、中を覆い隠す光の壁を形成するように地上へと迫り上る。
円柱状の光の壁は、人間をすっぽりと覆い隠す程度の高さまで上昇したのち数秒ほど停止する。
そして停止していた壁が今度は下降を始めると、中から数名の男女――今回の来訪者達が姿を現すのだった。
「――うわぁー!」
壁が下降し始めて、それまで光に覆われていた表の景色が視界に映し出される。
初めて訪れた場所。そんな景色を目の当たりにしたヴィヴィオ達は、瞳を輝かせながら口を揃えて歓喜の声をあげていたのだった。
「――ア、アインハルトさん! 素敵な景色ですよねっ!?」
「は、はい……とても緑豊かな素晴らしい景色だと思います」
興奮ぎみに話しかけるヴィヴィオとは対照的に、冷静に答えるアインハルトであったが――
「だけど、そう……この景色はオリヴィエの愛した風景に似ている。この国の王は、オリヴィエに似ているのかも知れない……」
口にこそ出してはいないが、きっと心の中ではそんなことを考えているような表情で、目の前に広がる景色を感慨深く眺めていたのだった。
そんな初めて見る風景を嬉々とした表情で眺めている子供達
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