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フリージングFINALアンリミテッド
UNLIMITED03――明日――
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とをしなければならないのか……」

「スナ、あなたは」

「分かっています。アオイ博士がどうしてもシュバリエに引き渡したくない気持ちがわかりましたから」

「確かに、このまま凱をシュバリエに入れてしまえば、最前線に立たせてすりつぶすか、彼自身の力を解析する為に、解剖してしまうかかのどちらかね」

悔しさのあまり、スナは唇を強くかんでしまう。それはエリズも同じ心境だった。
現代を生きる人間から見れば、凱は今より60年前の人間だ。それが突然となって公と表舞台に立ってしまえば、当然混乱は免れない。
残念ながら、パンドラシステムが確立されてしまった今のご時世、凱を評価するシステム自体が存在しない。
世界や時代そのものが、凱という存在を認めることが出来ないのだ。

「アオイ博士から聞いただけなんだけど、凱は元々勇者のような性格ではなかったらしいの」

「……」

「勇者でなければならない。期待を背負っているから弱音は吐けない。人智を超える力を得たからこそ、自分が戦わなければならない。殆どそんな自苦の念と臨戦態勢の心構えで、彼の中の『勇者』は作られているの」

そのエリズの言葉に、スナは若干思い当たるところがあった。
数日前、イーストゼネティックスへ出発する前の事だった。凱と二人で自然公園の中で話をしていた時、彼は時おり何かを見つめているような仕草が垣間見えた。
だからなのだろう。奇しくも凱に近い境遇を持つキャシー=ロックハートを凱の名目上監視任務に就かせたのは――
ふとエリズは、キャシーに告げた言葉を思い出す。





――キャシー=ロックハート。とりあえず1年、凱の背中を追いかけてみなさい。それはお互いにとってプラスとなるはずだから――





【同年・ドイツ・パンジャ・軍事施設屋外ブリッジ】



時は少し巻き戻る――夕暮れ時、凱はひとり気晴らしの為に外へ出て涼んでいた。まだ戦闘終了後の余韻が、熱となって体内に滞留し続けている。夕凪が彼の背中の長髪を優しく撫でる。

「もう動いて大丈夫かね?獅子王君」

「アオイ博士、俺ならもう大丈夫ですよ。それよりスナの方は……」

あれだけの戦いにもかかわらず、凱は軽傷で済んだとの事。それに引き換え、スナの容体は命に別状はないが、いまだに意識が戻っていないらしい。

「彼女なら大丈夫だ。今さっき目を覚ました」

彼女の容体を聞いたとき、凱はほっと胸をなでおろした。アオイ博士は「並みのパンドラでも、あの程度では重傷の内には入らない」といってくれたが、どうしても心配が拭えなかった。

「獅子王君。君はあまりにも強すぎる」

唐突に言われたことが理解できず、凱は思わず空返事をした。

「アオイ博士?」

「先ほどのスナ
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