37話 まだ見えぬ夜明け 3.11
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たらればの話、その時に右に切った舵を左に切ったらそれは犠牲者が少なかったかと尋ねればそれは答えられないだろう」
アムロはシャアの話に心の中で頷く。前の世界はその左に切った世界だった。今もそれなりの犠牲者は出ている。カイは納得する。
「成程。とても理論的な意見だ。検証する立場である我々には十分です。質問としてはとても不躾だったがこれも仕事柄なことと捉えていただけたらば幸いです」
シャアはカイの謝罪を受け入れた。最も両者とも悪意有って話をしてはいないことを知っていた。
「いえ、皆の言いたい意見を丸くそのまま問いて、そしてその答えを貴方は代表して受け入れた事に感謝致します」
このやり取りによりカイよりも博学でない他クルーはその悪意の矛先を見失ってしまった。ベイトがケッとケチを入れた。
「ったく、何なんだい。勝手な人のやり取りだけで人がこんなに死ぬなんて」
傍に居たバニングがベイトを宥めた。
「それが人というものだ。政治にしろ人がやっているものだからな」
「しかし隊長、モンシアが浮かばれませんぜ」
「その原動力の向け方で良い社会を生み出していければいいんじゃないか」
バニングもためらいがちながらも正論を述べてベイトを黙らせた。彼も部下の喪失に苛立ちがあった。
少し離れたところにアレンとクリスがその話を聞いていた。
「バニング隊長も苦しいねえ」
「・・・私も首都防衛隊の面々を失ってます。気持ちわかります」
クリスは下に俯く。そこにバーナード・ワイズマンが2人に飲み物を差し出した。
「あの人の気持ちわかりますよ。オレたちもどれだけの仲間を失ったか。その都度歯がゆい思いをしましたのでね」
クリスはバーニィの飲み物に手を出し、「有難う」と言葉を添えた。それをアレンは好機と見てその場を離れた。
「じゃあバーナード君といったか。お前に此奴任すわ」
「え?」
「な、大尉?」
2人とも驚きを見せた。その後アレンは捨て台詞を告げた。
「オレはこう見えて妻帯者なんだ。だからあんまり若い女史には付き合ってはいられないのよ」
アレンは飲み物だけ受け取り、その場から離れてバニングらに混じっていった。その事にクリスは笑い、バー二ィは苦笑した。
「ハハハ・・・私をお子様扱いか・・」
「ったく、余計な・・・」
「あら余計なの?」
バー二ィはクリスの軽い挑発に両手を挙げた。
「いえ、ドリンクサービスの狙いわかっていたでしょう」
「ふ〜ん、まあこんなうら若き乙女に声を掛けてくる男性はそんなもんでしょうね」
「そう、そんなもんですよ」
「まあ健康的なことは良いことよ」
「そう思いますよ」
それからクリスとバー
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