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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十七話 悪縁
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かな」

「分かっております。あれはフェザーンの仕業ですがフロトー大佐はそうは思わなかった。そして何人かの軍人と共にカストロプを去りました。おそらく揉み消しチームのメンバーでしょう」

ラフト中佐は一瞬シュミードリン中佐と顔を合わせ、話し始めた。
「フロトー大佐と共にカストロプを去った人間の一人を発見しました。その男は大佐と共に偽の憲兵に扮していたことが監視カメラの映像から分かっています。彼らは今でもチームで行動しているようです」
「……内務省との繋がりは見えたか?」

「その男が内務省に出入りしている所を確認しています。彼らが内務省と繋がりがあるのは間違いありません。もう直ぐフロトー大佐にたどり着けます。たどり着け次第、彼らを一斉に捕縛するつもりです」




憲兵隊のラフト中佐、情報部のシュミードリン中佐が帰った。どうも腑に落ちない。
「シュタインホフ元帥、いささか疑問がある」
「何かな、エーレンベルク元帥」

「フロトー大佐達は何故軍に戻らなかったのだろう? 確かに彼らは犯罪の揉み消しに協力した。しかし反乱鎮圧に協力すれば許される可能性はあっただろう。カストロプ公に強要されたと言っても良い。何故それを選ばなかったのか?」

シュタインホフが苦い表情を浮かべた。
「彼らにはそれが出来なかったのだよ、エーレンベルク元帥」
「どういうことだ……、卿何を知っている?」

シュタインホフの表情はさらに苦みをましている。そしてフロトー大佐が映っているスクリーンを見た。
「反乱鎮圧後、情報部はアルテミスの首飾りについて調べるため調査員をカストロプに派遣した……」
「……」

「残念だが、首飾りについては殆ど得る所は無かった。衛星そのものは粉々であったしな。残骸から得るものもそれほど多くは無かった。正直な所、無駄骨だったと言って良いだろう……。本当ならそれで終わりだった。だが……」
「……」

シュタインホフの頬に暗い笑みが浮かんでいる、そして私を見た。
「彼らはある物を見つけてしまったのだよ、軍務尚書」
「ある物?」

「彼らは偶然だがオイゲン・フォン・カストロプ公の遺品の中にキュンメル男爵家に関する文書が有るのを発見したのだ」
キュンメル男爵? 確かカストロプ公とは血縁関係が有ったはずだが……。

「その中にはヴァレンシュタイン弁護士夫妻の名とフロトーの名が記されていた。そしてリメス男爵家の事も……」
「どういう意味だ、それは……」
嫌な予感がする、まさか……。シュタインホフの笑みが大きくなった。

「十年前、リメス男爵家の相続問題に絡めて、ヴァレンシュタイン弁護士殺害事件を指示したのはカストロプ公、実行者はフロトー大佐ということだ」
「……馬鹿な、あれはリメス男爵家の親族が行なっ
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