第38話 引っかかり
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賞用植物がこぢんまりと置かれている。
カウンターでコーヒーを淹れているマスターも結構なお歳だと思うのだが紳士のように皺一つないユニフォームを着こなしている。流石だと思った。
「いらっしゃいませ、お一人ですか?」
「あぁいや、待ち合わせで...」
ウェイトレスにそう告げると、『でしたら、あちらのお客様でしょうか?』とカウンターに座っている女性を指し示す。
確かに女性であるが、名前も見た目も...年も知らないのだからあちらのお客様と言われても困る。
「多分、あの方です」
ウェイトレスとこのまま気まずいままでいるのも嫌なので適当にそう言って店内に足を運ぶ。
遠目ではちょっとわかりづらかったが、あの制服は...私立UTX高校の制服だ。
多分地毛ではない明るい茶色の髪にふわっとしたパーマをかけている。その、俺らと同い年とは思えない洒落っ気づいた髪形に、コーヒーカップを持ち上げる、それだけの仕草で肌に感じるお嬢様たる風格。
真姫とは違う方向で、何故か『真姫とは違くてよかった』と思っていた。理由はわからない。
まぁふと見ただけで決めつけるのもよくない。意を決して背後からゆっくり近づく。
「女の子に背後から近づくなんて悪さでもするつもりかしら?」
「なっ!」
こっちを一度も見ていないのになぜわかったんだコイツは?
気づかれたし、いつまでもアホみたいなことしているわけにもいかない。
俺は相手に聞こえないように軽く舌打ちをする。
「初めまして...で、俺に何か用ですか?」
「初対面の相手に対して随分な態度ですね、笹倉さん」
「そうですね、いきなり電話でああいう不快な言い回しされてはこういう態度にもなりますよ。なんで貴女は俺のこと知ってるんですか?」
俺は何気なく、ごく自然体で彼女の隣に座る。横顔をチラリと見る。
瞬間ギョッと目を見開く。そのリアクションに気づいて、それが面白かったのか指を口に当ててふふふと笑う。
「君のその驚く顔を見たかったわぁ。流石”μ`sのお手伝いさん”ね」
「...あ〜マジか。なんで貴女様がここにいらっしゃるのでしょうかね”優木あんじゅ”さんや」
───優木あんじゅ
スクールアイドルの頂点の頂点であり原点。
μ`sのリーダー、高坂穂乃果も影響を受けてスクールアイドルを始めるきっかけを与えたグループ。
まさかここで出会うとは思わなかった。多少の緊張と驚きはあるけど、にこや花陽みたく夢中になれるような神経は持ち合わせていない。
「だから笹倉くんに話が合って今日はここに来たのよぉ。まぁ気軽に話を聞いてね?あ、ここは私が出すわ。マスター、いつもの
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