暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百十八話
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
か生産職限定クエストだから、あんまり有名じゃないけど……って、あちゃ」

「先客か、珍しいな」

 そのクエストが発生する森の入口に、一人のプレイヤーの姿が見てとれる。レプラコーンという種族があるとはいえ、生産職限定クエストは待つほど人がいることは少ない。しかも、金髪に緑色の服からシルフのようだが……

「あーっ!」

 もう少し近づいてみたところ、リズとユウキの驚愕の声が重なった。その大声でシルフのプレイヤーも振り向き、そこでようやく俺は、そのプレイヤーが『彼女』だということに気づく。

「げっ……」

「……誰?」

「グウェン。例のPK集団の、元リーダーだ」

 シルフ特有の金髪をツインテールに纏め、露出度の高い和装に身を包んだ少女――グウェン。その人物と直接対面したことがなかったレインに説明しながら、自分も反射的に彼女のことを思い出していく。SAO時代のルクスの友人であり、彼女を利用してこのALOを昔のPK重視ゲームに戻そうとしていた。

 だがグウェン本人も利用されていただけらしく、先のフロアボス攻略戦のシャムロックへの襲撃を、ルクスにメールで教えてくれた人物でもあった。そのメールのおかげで、俺たちはシャムロックを助けることができ、こうして呑気にパーティーもやっていられるのだから。

「何よ。あんたらのおかげで、こうしてソロプレイすることになって、武器の素材集めなんてことしてるのに。わたしが先に来たんだから、アンタらが消えてくれる?」

「ここのクエスト、生産職限定だから、レプラコーンがPTにいないと発生しないわよ」

「え゛っ」

 バシバシとこちらに向けられていた敵意が、リズの溜め息混じりの一言で雲散霧消する。森の入口で何をウロウロしているのかと思えば、どうやらクエストが発生しない為に困っていただけらしい。

「ならわたしから消えるわよ。顔も見たくな――ひゃっ!?」

「ううん! ありがとね! キミのおかげで、みんな上手くいったんだから!」

「ちょ、ちょっと……離しなさい!」

 調子を取り戻して飛び去ろうとしたグウェンだったが、その神速で距離を詰めたユウキに手を握られて、無理やりに飛翔をキャンセルされた。もちろん、ユウキにそんなつもりはないだろうが。

「だから離しなさいってば!」

「あ、ごめんごめん。でも、お礼がしたいのはホントだよ!」

「…………っ」

「そうそう」

 ユウキの心の底から語られる言葉に、グウェンは毒気を抜かれて悪意が雲散霧消していく。その隙に接近したリズがグウェンの肩を叩くと、その逆の手には、かなりの業物である短剣――いや、忍刀と呼ぶべき武器が握られていた。それはグウェンが使っていた武器種と同じ物で、俺とリズは最近アレにかか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ