暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
sts 30 「悪夢の英知」
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 泣き虫な一面のあるヴィヴィオだが、それでも今味わっている痛みが転んだ程度のものでないことくらいは分かる。顔を歪ませて泣き叫ぶヴィヴィオの姿に誰もが悲痛の表情を浮かべている。
 特に愛情を注いでいたなのはの瞳からは先ほどまでの力強さは消え失せ、今にも心が壊れてしまいそうな顔をして体を震えさせている。それでもレイジングハートを固く握り絞めモニターから目を離さないのは、彼女の胸中に必ずヴィヴィオを救うという強い想いがあるからだろう。

「ヴィ……ヴィオ……」
『うぅ……痛い、痛いよぉぉぉッ! ママぁぁぁッ、パパぁぁぁぁッ!』
『さあ! ここから夢の始まりだ。フハハ……フハハハハハ……フハハハハハハハハッ!』

 ……スカリエッティ。
 何が夢の始まりだ。貴様の自分本位で自分勝手な欲望を満たすためにあの子を……ヴィヴィオを利用するのか。
 俺はなのはやフェイトのようにヴィヴィオの保護責任者でもなければ、特別子供な好きな奴でもない。正直なところ、ヴィヴィオにパパと呼ばれることに困っていた。
 俺はあんな大きな娘が居る年齢でもないし、昔と違って俺達にはそれぞれの立場がある。別に管理局は恋愛を禁止しているわけではないが、俺と違ってなのはやフェイトは世間にも認知されている有名人だ。
 六課のメンツはともかく、世の中には好き勝手あることないこと捏造して騒ぎ立てる連中も居る。夢に向かって進み続けるあいつらの障害になる可能性は少しでも低くするべきだろう。いや、この言い方は正しくない。俺がそうしたいだけだ。

「……だが」

 それでも、自分の事をパパだと呼んで慕ってくれた子供を無下にするつもりはない。
 俺にとってあの子は……ヴィヴィオは娘というわけじゃない。今後の流れ次第ではそうなる可能性がないわけではないが、少なくとも今はそれはない。
 ――けれどこれだけははっきりと言える。
 ヴィヴィオは俺の中ですでに大切な存在だ。笑ってくれれば嬉しいと思うし、泣いているところを見れば辛いと感じる。出来ることなら今すぐにでもあの子の元に駆けつけて助け出し抱きしめて安心させてやりたい。
 スカリエッティ……このまま貴様の思うがままに物事が進むと思うなよ。貴様の野望は止めてみせる……必ず!



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