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ドリトル先生の名監督
第九幕その十二

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「そこは言ったら厄介なことになりかねないね」
「ですよね、まあ宗教についてはですね」
「お相撲は神道ですけれど」
「他の宗教が入ってもいいですね」
「キリスト教も」
「僕もお寺や神社に行くしね」
 最近ではお付き合いで天理教の教会にも出入りしていて留学してきているムスリムの人達ともお話しています。
「だからね」
「もうですよね」
「そのことはですね」
「寛容であれ」
「そういうことですね」
「それでいいと思うよ、じゃあ神様に感謝しよう」
 キリスト教の神様にというのです。
「日本に来られたこと、この部活に関われたこと」
「そしてちゃんこにも巡り会えた」
「そのこともですね」
「全部神様に感謝するよ」
 笑顔で言う先生でした。
「このこともね」
「先生は何でもですよね」
 部員の人の一人が先生に聞いてきました。
「神様に感謝されますね」
「うん、そうしてるよ」
「かなり信仰が篤いんですね」
「いや、僕はね」
「まだですか」
「僕より信仰の篤い人は一杯いるよ」 
 その部員さんにこう答えるのでした。
「それこそね」
「そうなんですか」
「イギリスでも他の国でもね」
「日本でもですね」
「そう、信仰の強さにも限りがないからね」
 だからだというのです。
「僕より信仰の篤い人は幾らでもいるよ」
「先生は神学者でもありますよね」
「そう、けれどね」
「それでもですか」
「牧師の資格も頂いたけれど」
 日本に来てからです、国教会から頂いたのです。
「けれどね」
「その先生よりもですか」
「そう、信仰の篤い人は沢山いるよ」
「そうなんですね」
「人の力は小さいから」
 こうしたことも言った先生でした。
「神様の前ではね」
「そのこともですか」
「自覚しているよ」
 それもいつもというのです。
「神が創られたもののうちの一つだしね」
「その世界の中の一つですね」
「そうだよ、人間は誰でも小さいんだ」
「先生も僕達も」
「だから神のお導きでね」
「今回もですね」
「僕はちゃんこにも巡り会えたんだね」 
 笑顔でこう言うのでした、そしてです。
 先生はこの日も皆の稽古を監督しました、その監督は決して怒らす声を荒らげない先生らしいものでした。
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