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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十五話 レンテンベルク要塞
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だ自分の考えを述べたかっただけなのかもしれません。シュターデン大将が死んだ今となっては謎ですな」
なるほど、死んだ人間には皆優しいの。シュタインホフの言葉に今度はエーレンベルクが頷いている。二人とも何処か死者を悼むような表情だ。感傷じゃの。
「それで、そちらはどうなのじゃ」
私の言葉にエーレンベルクはそれまでの感傷に満ちた表情を捨て厳しい男の表情をした。
「ラートブルフ男爵は誘拐犯の一人である事は認めました。しかし計画の立案は殆どランズベルク伯が行なったそうで何も知らぬと……」
「協力者については如何じゃ」
「その点についても何も知りませんでした。彼らはランズベルク伯が連れて来たそうです。皆覆面をして顔を隠していたと言っています」
エーレンベルクの答えに思わず舌打ちが出た。
「ランズベルク伯に誘拐計画など立てられる訳があるまい。あの下手な詩を創るしか能の無い男に……。誰かが絵図を描いた筈じゃ」
「ラートブルフ男爵の供述で誘拐直後に使用した隠れ家が分かりました」
「それで」
「持ち主はアドルフ・エッカート大尉、戦争で行方不明になっています。しかも家族が居ません。であるのに購入されたのは十一月の初旬のことです。偽装購入されたものでしょう」
「……」
何も分からぬということか、ラートブルフ男爵も役に立たぬ。そう思っているとエーレンベルクが言葉を続けた。
「宇宙港で憲兵に成りすまし、捕虜を受け取ろうとした男がいます。宇宙港の監視カメラに映っていました。念のため隠れ家を扱っていた不動産屋に写真を見せた所、購入したのはその男だと証言しました。名前はアドルフ・エッカート……」
思わずエーレンベルク、シュタインホフの顔を見た。二人とも難しい表情をしている
「何者かの、その男」
「おそらく内務省に関わりのある男でしょうが正規の職員ではないと思います。今、憲兵隊、情報部が全力で追っています」
エーレンベルクの後をシュタインホフが繋いだ。
「過去に軍に所属した事があるかもしれません。そうであれば割り出しは難しくないでしょう。もう暫くお待ちください」
休憩室を出てから南苑に立ち寄りグリューネワルト伯爵夫人に面会を申し込んだ。伯爵夫人は少し困惑したような表情をしている。
「リヒテンラーデ侯、何か私に御用でしょうか」
「いやいや、久々に伯爵夫人の御顔を拝見したくなったまでです。いけませぬかな」
「……」
「ローエングラム伯が戦場にある今、何かとお寂しいでしょう、連絡は取っておいでですか?」
「いえ、そのような事は……」
「はて、いけませぬな。たった二人の御姉弟なのです、連絡を取られては如何です。最近オーディンも何かと物騒ですからな、伯も安心するでしょう。伯には辺境星域の平定と
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