第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#10
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREU 〜Seventh Dimension〜
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の刺客だな?
能力はスゲーようだがこんなガキまで使うとは、
ヤローも随分切羽詰まってんじゃあねーのか?」
「余計な口上は無用。さっさと始めてさっさと終わらせましょう」
出国以来、正確には出逢って以降本当に何度も繰り返されたやりとりなので
二人は顔色を変えず応える。
逆に少女は一瞬その青い瞳を張り詰めさせたが、すぐに私情を諫め布告を受け入れる。
「そうですわね。格調も品格もありませんけれど、
アナタ方の最後の言葉としては相応しいかもしれませんわ。
お兄様? 何か言う事はありますか?」
すぐにでも大樹を起動させ、全面攻撃を可能とする態勢を整えながら
ティリエルはソラトに振る。
促されたソラトは焦った表情で冷や汗を飛ばしたがやがて、
「君達……DIOサマの事、イジめるの……?」
封絶の気流に吹き飛ばされそうなか細い声でそう言った。
「あ?」
「ハァ!?」
その小心な様子というより良く聞こえなかった事に苛立った二人が
凄味を滲ませて問い返す。
どこぞの殺人鬼が聞いたのなら以下略、
ソラトはその壮烈な格好とは裏腹に怯むが
双眸に涙を浮かべて再び言う。
「DIOサマ、イジめる、の?」
「……」
「だからおまえ何フザけた事」
戦闘状態で燃え上がる二人の、意識の外を突くように一迅の疾風が音もなく駆けた。
気づいた時にはもう、承太郎の眼前で巨大な両手剣が振り抜かれている。
真一文字に裂かれた皮膚から、滴り落ちる雫。
文字通り首の皮一枚で躱した承太郎と声が言葉にならないシャナ。
その姿に油断していたわけではない、寧ろいつ戦いが始まっても対応出来る程に
神経を張り詰めていたからこその驚愕だった。
一拍於いて叩きつけられる、爆風のような空気圧。
(もうワンテンポ遅れりゃあ、首から上がソックリ無くなってた……!
この小僧……! シャナ並のスピード……! パワーはそれ以上か……!?)
殺気を全く感じさせない、しかし兇悪なる殺傷力、
相反する要素が一体となった無垢で残虐な一撃に
さしも承太郎も寒気を覚える。
「このぉッ!」
同じ脅威を感じつつも激昂したシャナが、
左掌中から炎弾の嵐を乱射する。
しかし巨大なヒトデのように開いた大樹の蔓が、
剣を振り切ったソラトの側面を覆い尽くし完全にガードした。
妹の援護を当然のものとした兄は、そのまま蔓を蹴り付けて宙返りし
甲冑を付けているとは想えない身軽さで中程に着地する。
その先ではティリエルが既に勝利を確信したような、
優美なる微笑を称えていた。
「……」
「……」
激戦の火蓋を切る光景の直中で、承太郎とシャナは眼を合わせず
知らぬ者のいない遊戯を行う。
結果は、パーで承太郎の勝ち。
「右」
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