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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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り甘いものは好きじゃなかったんだけど、ここのお菓子や紅茶はなぜだか好きになってしまったんだ。

 食べ過ぎて太らないようにしないとな。

「でもうちのお客様となのはのお友達が同じ人で、それが最近引っ越してきた人だなんて運命的ね」

 桃子さんは遠い目をしながら、夢物語を語るように言葉を紡ぐ。

「私と士郎さんが出会った頃を思い出すわぁ」

「こらこら、客人の前だぞ?」

「あら、ちょっとくらいいいじゃない。 なのはと小伊坂君もそう言う関係になるかもしれないんだし」

「ブフッ!」

「うおぅっ!? だ、大丈夫か?」

 桃子さんのなにげない一言に、高町がすすっていた味噌汁を吹き出した。

 隣だったので驚きつつ、俺はポケットに入れていたハンカチで濡れた箇所を拭いてあげた。

「げほっ、ごほっ……だ、だいじょぶ」

 涙目になりながら口元をティッシュで拭き、彼女は母を睨みつける。

「お、お母さん! 変なこと言わないでよぉ!」

「変なことなんて言ってないわよ?」

「言ったよ! 私と小伊坂君が……そ、そう言う関係って!」

 後半かなり音量が落ちたような気がするんだけど?

「あらいいじゃない。 小伊坂君、しっかりしてるし、見た目も悪くないし、なのはの理想に似合うと思うけど?」

「確かに小伊坂君ってしっかりしてるよね〜。 私が彼くらいの時ってもっとやんちゃだったと思うけどな〜」

「美由希は今もやんちゃだろ?」

「ちょっ、恭ちゃん!? 私はもう立派ですぅ〜!」

「だったらお前の宿題は見なくていいんだな?」

「まだまだ未熟の私を、どうかこれからもよろしくお願いします!」

「プライドちっちゃすぎだ!」

「ははは、今はこんなだが、恭也も小伊坂君くらいの時は充分やんちゃしてたけどな」

「と、父さんっ……俺のガキの頃はいいだろ?」

「俺にとってはまだまだガキだってことだ」

「ったく……」


「………………ずずずっ」

 気づけば一家全員、勢いのついた会話を始めていた。

 俺はその勢いを見つめながら、割り込むこともできずに味噌汁をすする。

 うん、美味しい。

 そしてある程度食べ終わってもまだ続く家族トークに、俺は一人取り残された気分を感じながらも、その光景から目を離せずに見つめ続けた。

 ――――この家族は、幸せに溢れている。

 色んな不幸があっただろうし、色んな苦難や苦労があったことだろう。

 それでもこの人達は、それぞれがそれぞれの力で乗り越えてきたのだろう。

 だからこそ手に入れた幸せで、そんな幸せがあるからこそ、色んな痛みに耐えられるんじゃないかって思う。

 ――――俺の時は、
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