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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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はさんの招待で夕食をご一緒させていただきたく思い、お邪魔させてもらってます」

 なるべく丁寧な言葉を並べ、深く一礼をすると、二人の視線は柔らかいものとなり、なぜか唸るような声を上げていた。

「はぁ〜よくできた子だこと」

「今時の小学生にしてはよくできてるな。 見ていてこちらのほうが勉強になってしまいそうだ」

「えっと、恐縮です」

 そこまで褒められると逆に何を言えばいいのか分からなくなり、俺ははにかんだ様な笑みを零す。

 どうやら二人にとって俺は受け入れられる対象として見てもらえたようだ。

「おっと、こちらも自己紹介をしないとな。 俺はなのはの兄、高町 恭也だ」

「私は高町 美由希ね、よろしく!」

 挨拶を終えた所で士郎さんが俺の右肩に手を置き、優しい笑みでこちらを見つめた。

「高町一家はこれで全員だ。 小伊坂くん、改めてよろしく」

「はい、よろしくお願いします」

 懐の広そうな人だ。

 きっとこの人にとって今が充実していて、幸せでいっぱいなのだろう。

 それが俺にはあまりにも眩しくて、羨ましいものに思えた。

「さて、紹介が済んだようだから……なのは、小伊坂くんと一緒に手を洗ってきなさい」

「あ、うん! 行こ?」

「ああ」

 俺は高町を先頭にリビングを出て行った。

 背後から送られる、優しい視線と共に。


*****


 それから俺は、高町一家に混ざって夕食を共にした。

 白米、味噌汁、漬物、肉じゃが、サラダ。

 和食とたくさんの野菜は、どれも優しい味付けで、そこにも桃子さんの人柄を感じた。

 懐かしい味ってこんな感じなのかなって思いながら、俺は数年ぶりに誰かの手料理を口にした。

「小伊坂君は転入生と聞いているが、前はどの辺に住んでいたんだ?」

 士郎さんの何気ない問いに、俺は前々から用意していた答えを返す。

「父の都合もあって海外とこっちを行ったり来たりしてたもので」

「それは随分大変だったな」

「いえ、どこに行っても楽しいことは見つけられたので」

 海外と言うか、地球外なんだけどと思いつつも、俺は嘘のような本当のような言葉を紡ぐ。

「ただ、色々と落ち着いたみたいなのでこれからはここで過ごしていく予定です」

「そうか。 手前味噌になってしまうが、海鳴は良い所だ。 君や君のご家族にとってもここは過ごしやすい場所だと保証する」

「小伊坂君、よく翠屋にも来てくれるしね」

「そうなのか?」

「あはは……そちらの方でもお世話になってます」

 照れ笑いをしながら、俺は軽く一礼する。

 正直、週一くらいの頻度で翠屋には足を運んでいる。

 あま
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