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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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た子なら大歓迎だし、私たちも一度お客としてじゃなくて、なのはの家族としてお話ししてみたかったから。 そうよね、アナタ」

「ああ、俺も大歓迎だ」

「――――っ!?」

 え、いつの間に?

 気づけば桃子さんの隣に一人の男性が立っていた。

 黒っぽい髪の細身の男性。

 桃子さんの放つ雰囲気に溶け込むような、同じ波長を持つような男性。

 その人が桃子さんの旦那さんで、高町のお父さんなのはすぐに分かった。

 俺が驚いたのは、彼の接近に気付けなかったことだ。

 桃子さんのほうを向いていたなら、隣にいる彼にはすぐに気づけたはずなんだ。

 それなのに、まるで一瞬で現れたかのように気づけないなんて。

「俺はなのはの父、高町 士郎だ」

 ゆっくりとこちらに歩み寄り、彼は俺に握手を求める右手を差し出す。

「……お、俺は小伊坂 黒鐘です。 よろしくお願いします」

「ああ、こちらこそ!」

 俺はなんとか声を絞り出し、士郎さんの握手に応じた。

「……」

 士郎さんの手は、とても一般人とは思えない厚みを持っていた。

 硬いだけでなく、柔らかさも兼ね備えたしっかりとした手と、お菓子作りには関係がなく、俺がよく知る位置にある分厚い肉刺。

 それである程度察した。

 ああ、この人も俺に近い世界で生きていた人なんだってことを。

「あの」

「おっと、立ち話はこの辺にしてウチへ上がりなさい。 家族が多く狭い所だが、君を歓迎するよ」

「……はい、それじゃ、お邪魔します」

 アナタは何と戦ってきたんですか?

 なんとなくそう聞きたかったけど、士郎さんの眼はそれを理解した上で受け流したように見えた。

 嫁さんと娘がいるからなのか?

 そんな疑問や、高町家の持つ不思議な暖かさを感じながら、俺はこの人たちの住む空間へ足を踏み入れた。

 靴から客用のクリーム色のスリッパに履き替えて廊下を進むと、リビングと思わしき広い部屋へ到着した。

「ただいま〜」

「おかえり、なのは」

「なのは、今日も遅かったじゃん!」

「にゃはは、ごめんお姉ちゃん」

 そこには家族が食事を取るための大きなテーブルが置かれており、既にその前の椅子に座っている男性とメガネをかけた女性がいた。

 高町の発言で察するに、彼女の兄と姉なのだろう。

 ……姉か。

「なのは、そちらの子は?」

 彼女の兄らしき男性と姉の視線がこちらを向く。

 その目は人を品定めするような鋭いものだけど、敵意や殺気のようなものは感じない。

 あくまで君は誰なんだと言う問いの視線だろう。

「なのはさんの一年上の小伊坂 黒鐘です。 今日はなの
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