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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十一話 家族のかたち
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柔軟体操を念入りにすることの重要性を知らないから、適当にやってしまいがちになる。

 ここをしっかり抑えれば回復は更に早まるし、身体への負担やその蓄積が少なくて済む。

「さて、俺も貰うか」

 リュックに入れたペットボトルはこれ一本。

 それ以外は鉛や鉄の入った重りばかりで、それを背負って走ってこの山を昇り降りするのが俺の訓練の一つだ。

「あ、あの……」

 何キロだっけな……スーパーにあるお米よりは重いから、十キロ以上か?

「あの!」

 まぁいいや、とにかく俺も喉が渇いたしさっさと飲んで柔軟を……

「あのってば!」

「ん?」

 俺はペットボトルに口をつけながら、声を上げる高町を見る。

 喉を通る冷たい液体が気持ちいい。

 これも運動して得られる気持ちよさの一つで、あとはシャワーを浴びて汗を流せば完璧かな?

「あ……あぅ」

 と、なぜか高町は顔を真っ赤にして俯く。

「え、ほんとにどうした?」

 終わって直後に熱が出るなんて、体調でも崩したのか?

「そ、その……」

「ん?」

 俯きながらも彼女は声を発し、そこから緊張のような震えが伝わってくる。

 急にどうしたのかわからないまま、俺は彼女の言葉を待つ。

「その……ペットボトル」

 左手人差し指で俺の持つ空のペットボトルを指差す。

 まだ飲みたかったのか?

「私が飲んだものだよね?」

「そうだけど?」

「は、恥ずかしく、ないの?」

「え、なんで?」

「だって、口つけてるから…」

「……あー」

 棒読み感のある声が漏れてしまうほど、俺は呆れながらも理解した。

 なるほど、間接キスってやつか。

 それで顔を真っ赤にしてしまったわけね。

「ごめん、気が利かなかったな」

「ううん、大丈夫……だから」

 許してくれてるようだけど、顔は未だに真っ赤なままだ。

 そうだよな、高町だって普通の女の子で、そういうことには敏感に反応するんだよな。

 姉さんや雪鳴、柚那とはよく回し飲みをしていたから、俺の中でこれが『間接キス』っていう色っぽいイメージがなかった。

 ……なんて、いい訳だよな。

 こういうことは、好きな人としたいはずなのに……悪いことしちゃったな。

「次はちゃんとお互いの分にしとくから……とにかくごめん」

「う、ううん、ほんとに大丈夫だから!」

 ようやく落ち着きを取り戻したのか、彼女は声高に許してくれた。

 こういうことには疎いから、もう少し知っておかないとダメだな。

 魔法や剣術のことばっかの頭だったけど、これからはもっと普通のことを知っていかなきゃいけない
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