帰郷-リターンマイカントゥリー-part5/すれ違いの親子
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。そんなサイトたちの驚きをよそに、フレデリックはカトレアの方に視線を向きなおした。
「安心してください、ミス・カトレア。ルイズ様は私が必ず連れ戻してきます。ですから、ここでお待ちください」
「え、ええ…」
カトレアが少し戸惑いを示すも、とりあえず頷いて見せたのを見て、フレデリックもカトレアの部屋を後にした。
「あの、カトレアさん…」
サイトはカトレアの方を見る。話しかけたものの、またしても色々と驚きの連続で、カトレアに対して何を言うべきか頭がこんがらがった。
「ごめんなさいね。私の家族…みんなああ見えていい人たちなの。ただ、ちょっと融通が利かないだけなの。それとあなたも、一緒だったからお母様たちが怖かったかしら?」
そんなサイトとハルナに対し、カトレアは家族のことを詫びてきた。
「いや、その…いいんです。でもそれより、ルイズになにかあったんですか?…あ、すみません…まだカトレアさん、体の調子が…」
ルイズの身に何か起こったのかを尋ねようとしたサイトだが、カトレアが病み上がりであることを思い出して、ようやく浮かんだ質問を一度喉の奥に引っ込めた。
「いいのよ。そのことなんだけど…」
カトレアはそのことを気にしないでほしいというと、サイトたちに…ルイズが公爵の計らいで新たな婚約をフレデリックと結ばされようとしている事、トリスタニアで女王からの命令で行っている任務を受けていることに反対していること、さらにルイズを危険に追いやらないために彼女の意思を無視してでも実家に閉じ込めてしまおうとしていること、そのことでルイズが朝食の席から逃げたことを伝えた。
「そう、なんですか…」
『…ルイズ…』
ずっと屈辱的な意味で『ゼロ』だと言われてきたルイズにとって、家族に認めてもらうことは叶えたい望みでもあった。しかし真っ向から自分の意思を否定されてしまって、たまらなくなって逃げてしまったのだろう。
ゼロと馬鹿にされてきたルイズの苦しみを、まだ1年にも満たない期間とはいえすぐそばでルイズを見てきたサイトには、その苦しみが理解できる気がした。義母に出会うまで、自分を見てくれたり認めてくれる家族がそもそもいなかった。それは、サイトの目や耳を通して聞いているゼロにも、その苦しみが理解できる気がした。
家族を失ったサイト、家族の存在を知らなかったゼロ、家族に自分の力の秘密を話すことも信じてもらうこともできないルイズ。誰からもわかってもらえない。努力をしても…一番ほめてほしいはずの人たちに認めてもらえない苦しみ。
きっかけこそ違えど、家族から認めてもらえないというのは、孤独感に囚われるには十分。ルイズの場合、家族が五体満足で顕在だからその分だけ苦しいのかもしれない。
「今は召使の人たちが捜している頃ね。でも、あの子のことだからあそこでしょうね」
「わかるん
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