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先恋
先恋〜キミも好き?〜
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「今日は専門してね、怪我しない様に注意して、準備は早く、」
「はい!」
沙奈がアップを終えた部員達に指示をすると、部員達は早急に準備を始めた。
「春季大会が近いから、今怪我したら大変だからね!怪我しない様に??」
陸太が部員達に声をかけ、準備をしている。
「マット出すの手伝って!」
「準備は早くー」
「メジャー引くの手伝って下さーい??」
準備は着々と進み、部員達が専門を始める。沙奈はアドバイスをしながら、部員達を見ていた。
「……フッ…」
その息の音がした方を見ると、かなり高い位置にあるバーを跳び越えようとする陸太の姿があった。曲線を描く様に体を捻り、美しく背中から落ちていく…沙奈は息をするのも忘れ、それを見つめていた。
「…綺麗……」
陸太が沙奈の視線に気付き、軽く微笑む。沙奈は全てを忘れ、ただ、あの美しい姿を頭の中に何度も描いていた。
「…先生?」
「………」
「瑞木先生?」
「…え?」
はっとして前を見ると、すぐ近くで陸太が笑っている。
「…あ…ごっ、ごめっ??」
「…言わないで下さい??」
「…っ!」
陸太が悲しげに沙奈を見つめている。沙奈も、何と言えば良いか分からず、俯く。
「…僕、やっぱり先生を傷付けてたんですね、今更ですが…気付きました。」
「…なっ、ち、違っ??」
「なら何故…あんな…」
「ごめん…」
「…あ…、いえ、」
また、気不味い空気に包まれる。
「…あの…、」
陸太が口を開く。沙奈の顔は見ず、小さな声で話し始める。
「…僕、先生が知り合いの方に告白するって言ってた時…本当は…凄く悔しかったんです。」
「…何で?」
「……分かりません…でも…」
“分からない”…その言葉で、また、胸が詰まる。苦しくなる。
「…私…春先君に謝らないといけないの」
「…え?」
「…本当は…告白なんかしないの」
「…そうだったん…ですか…」
「…うん、」
「良かった…」
陸太のその言葉に沙奈は驚いた。“良かった”…?何が良かったのか?何を喜んでくれているのか分からない。何がどう良かったのだろうか?沙奈はそれを考えながら陸太の顔を見た。
「…先生…」
「…ん?」
「どうして…あんな嘘、ついたんですか?」
沙奈はその言葉に答えられず、また、俯いた。
「あっ、すみません!」
「…ううん、大丈夫、」
「ちょっと…気になって…」
「……うん」
沙奈はゆっくりと深呼吸をして、陸太の顔を見た。陸太は、不思議そうに沙奈を見つめていたが、沙奈と同じ様に、真剣な顔をして、沙奈を見つめ返す。
「…まぁ、これで春先君には嫌われるかな」
「…え?」
「…うん、きっと私のこと、嫌いになるよ」
沙奈はそう言い、微笑んだ。陸太は哀しげに眉を下げ、軽く首を傾げた。

「…次は、感じ外
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