二十三話:プールサイド
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う! 今のは、う―――」
まさか、自分が指名されるとは思わず、裏返った声を上げるぐだ男。
ジャンヌ・オルタの方も無意識で言っていたのか、今になり相手が異性だということに気づき、慌てて否定しようとするが。
「嘘……ですか?」
この世から?を無くすと言って、はばからない清姫に止められてしまう。
「う、嘘じゃないわよ! 別に…」
「では、間違いですか?」
「私が間違いなんてするわけないでしょ!」
普段から馬が合わない性格のために、売り言葉に買い言葉とばかりの会話を繰り広げる。
だが、嘘をつくこともできず、素直に間違いを認めることができないとなると。
「つまり、旦那様に日焼け止めを塗って頂くということで間違いありませんね」
「う…っ。そ、そうよ。別に構わないわよ……変なとこに触れないなら」
初めに言ってしまったように、ぐだ男に塗ってもらうしかなくなる。
何故こうなってしまったのかと、後悔からプルプルと震えるジャンヌ・オルタを横目に、ぐだ男は清姫に耳打ちをする。
『でも、良かったの、清姫。俺、男だよ?』
「はい。確かに旦那様が他の方に触れるのは、少し、すこーし、複雑な思いですが……」
『ですが?』
「この世からまた一つ嘘が消えましたので。次に旦那様に、塗ってもらうことで我慢いたします」
己の信念を貫き通して見せた清姫は、朗らかに笑って見せる。
しっかりと自分の利益を確保しながら。
「そんなところで話してないで、さ、さっさと、終わらせなさいよ!」
『分かった。じゃあ、背中向けて。前は自分で塗れるでしょ?』
「当たり前でしょ。ほら、早くしなさい」
緊張しているのか、声を震わしながら促すジャンヌ・オルタ。
ぐだ男の方も緊張から、乾いた唾を飲み込み、ゆっくりと彼女の体に手を伸ばす。
「…っ!」
『あ、ごめん。痛かった?』
「べ、別に、何でもないわよ。とっとと終わらせなさい」
ビクッと体を震わせながら、彼女は零れそうになる声を抑える。
ぐだ男の方も、予想の何倍も柔らかく、触れれば簡単に傷つけてしまいそうな肌に戸惑う。
お互いに恥ずかしくて仕方がなくなるが、他の二人に見られているので必死に耐える。
「…つぅ…! ……んッ」
『本当に大丈夫…?』
「へ、平気だって言ってるでしょ…っ」
顔を赤くして、こちらを睨みつけてくるジャンヌ・オルタ。
その姿に、ぐだ男は思わず、自分が彼女を汚しているような錯覚を覚えてしまう。
しかし、すぐに頭を振って邪念を振り払い、作業を終える。
『はい、終わったよ』
「はぁ…はぁ…やっと終わった……変な気分になっちゃったじゃない」
『なんか言った?』
「な、何でもないわよ! とにかく
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