巻ノ六十一 姫武将との戦いその七
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「何時どうなるのかな」
「ですな、幼子の命はわかりませぬ」
「昨日元気でも今日に死ぬ」
「それも急に」
「そうしたものですから」
「実に危うい、そしてな」
また言った幸村だった。
「その時の為に三好殿もおられるが」
「その三好殿も危うくなれば」
「羽柴家に人がいなくなる」
「そうなれば」
「天下は法に人で治まる」
この二つがあってこそというのだ。
「天下の法も必要じゃが」
「人も欠かせぬ」
「それならばですな」
「天下人もいなくてはならぬ」
「天下を治める方が」
「若し羽柴家にそうした人がいなくなれば」
秀吉の後にというのだ、最早五十を越えた彼の。
「危ういな」
「ですか」
「そうなりますか」
「ではその時は」
「やはり」
「うむ、そうなるやもな」
ここでは家康の名前をあえて出さなかった。だがだった。
幸村は忍のことも考えていた、そのうえで。
今は周りを見ていたがだ、不意にだった。
飯を炊く煙が周りの村から出ていたがそのうちの一つを見てだった、瞬時に顔を強張らせた。それは十勇士達も同じだった。
それでだ、幸村は十勇士達にあらためて言ったのだった。
「見たな」
「はい、確かに」
「飯を炊く煙の中に忍の狼煙がありました」
「あれは風魔の狼煙です」
「間違いありませぬ」
「必死に送ってきたな」
風魔の者達をとだ、幸村は言った。
「忍城に」
「ですな、城の中に入っているかまではわかりませぬが」
「夜襲の時には来ますな」
「そしてあの者達ともですな」
「戦になりますな」
「うむ」
幸村は確信を以て答えた。
「そうなる」
「ではこのことを石田殿、浅野殿にお話しましょう」
「お義父上にも」
「無論若殿にも」
「そうせねばな。どうもこの戦」
幸村は眉を曇らせさらに言った。
「思ったよりも厄介な戦になるな」
「甲斐姫だけでも手強かったですが」
「そこにさらにですな」
「風魔も来る」
「そうなりますと」
「間違いなくな、しかし何としても攻め落とす」
幸村は決意も見せた。
「夜にな」
「ではすぐに石田殿達にお話しましょう」
「これより」
「そうしようぞ」
幸村は十勇士達に応えた、そして実際にすぐに信之に話し石田達にも話した。すると大谷は腕を組み神妙な顔になり本陣において共にいる石田にこう言った。
「この戦、夜に攻めてもじゃ」
「難しいというか」
「御主も知っていよう、西に伊賀と甲賀あれば東に風魔じゃ」
忍のことを話すのだった。
「その風魔の忍達が来たとなるとな」
「容易にはというか」
「そうじゃ、勝てぬ」
こう言うのだった。
「だからじゃ」
「こちらの忍は」
「真田家自体がそうであるが」
「そうじゃな、
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