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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン58 鉄砲水と精霊の森
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る先には、いつの間にか出口に回り込んで外から覗き込む巨大なシャチの姿。
 ああ、そうだ。こんなわざわざ持ち上げてから叩き落とすようなやり方で心を徹底的に折っていくなんて、いかにもうちの神様ならやりそうなことだ。絶望の色を張り付けて膝から崩れ落ちる生き残りの人たちに、そっとチャクチャルさんが上空から近寄ってゆく。彼らの姿が闇に飲まれたところで、こちらの視界も再び暗くなった。

『はっはぁ!どうだい気分は、最高だろう?お前ご自慢の地縛神は、ずっとお前の前じゃ猫被ってて何も言わなかったからなぁ?いやあ、なかなかあの様子は傑作だったってーもんよ』
「うるさい……」

 もうこんな話、これ以上は聞きたくない。だけど、拒否する声にも力が入らない。
 裏切られた、というのは少し違う。僕はチャクチャルさんから過去を問いたださなかったしあちらも言わなかった、それだけのことだ。それはわかってはいるけれど、やっぱりなぜ言ってくれなかったのかという悲しみが大きい。僕はチャクチャルさんのことをずっと信用して……いや、そもそもそれは僕だけの勝手な思い込みじゃなかっただろうか。
 最初からずっとチャクチャルさんの目的は5000年前の復讐を果たし、再びあの文献や今の映像のような世界を作り出すこと……そのために、こうしてその機会をうかがっているのだとしたら?だとすれば僕を生き返らせたわけにも説明がつく。自身のカードを突破口としてナスカの封印を破るために利用されたのだとしたら?三幻魔を共に撃退したのも、邪神アバターを闇に葬り還したのも、光の結社と敵対したのも、単に地縛神とダークシグナーの世界には不要な存在だったから、というだけの理由なのだとしたら?
 仲間を、それも命の恩神を疑うなんて最低だ、そんな声が自分の中から聞こえてくる。僕自身も、やっぱりチャクチャルさんのことを信じたい。だけど、そんな思いを丁寧に打ち砕くように、先代の言葉ひとつひとつが胸に突き刺さる。

『いやまったく、ひでえ話だなぁ、オイ?あいつはずっとお前を騙してたんだ。流石の俺も同情するぜー、なぁ?お前がこれまで必死こいて守ってきた世界は、最後には誰よりも信じてた、あの味方面したクソ神の手でおじゃんになるって寸法なんだからよお。だがこいつは効果的だ、それは俺も認めるぜ。何しろ持ち上げて落とすこの方法なら確実にお前にのしかかる絶望はそれだけデカイ、それまでの間にお前が勝手になまっちょろい信頼関係を築いた気になってたんならなおさらだ。見事な計画ってもんだぜ』
「し、信じないよ、そんな話……」
『そうか?じゃあ聞かせてもらうがね旦那、そもそも俺が最初にダンナの夢に出てきたとき、あいつはなーんであんなに怒ってたんだい?簡単だよ旦那、俺とあいつが会えば、遅かれ早かれ俺はあいつが何を企んでるかに気づく、それがよーく
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