ターン58 鉄砲水と精霊の森
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「僕の話はこんなところです。あの、こんな話でも信じてくれるんですか?せめてデッキさえあれば、僕のカードの精霊たちに証明してもらえるのに……」
「ああ、君の目は嘘をついているようには見えない。それに、もし嘘ならもっとそれらしい話を作るだろう。それと君のデッキだが、少なくとも君のいた近くには落ちていなかった。恐らく、次元の壁を超える際に何かの拍子でデュエルディスクから外れてしまったのだろう」
「そう、ですか。せめてチャクチャルさんと連絡が取れるぐらい近くに行ければ……」
もう一度テレパシーを試みるも、やはりあちらからは遠すぎるためか何も伝わってこない。そこで、老人の眉に初めて皺が寄った。
「それなんだがね。君の話を信じないというわけではないが、どうもそこの部分だけ腑に落ちないんだ。君の言うチャクチャルさん、とは、本当にあの『地縛神』なのかね?」
「あ、それなら証拠も出せますよ。ほら」
チャクチャルさんが近くにいないのにエネルギーの乱用をするのはどんなリスクがあるかわからないので、ほんの1瞬だけダークシグナーの力を表面に出す。パッと体中に紫の痣が走るも次の瞬間にはその全てが消え失せたが、地縛神のことを知っているのなら証明はこれで十分だろう。
そんな軽い気持ちで見せた痣だったが、その結果は僕の思った以上のものだった。老人の顔がサッと青ざめ、自分の手にしていたカップが床に落ちるのも構わずよろよろと数歩下がる。その後どうにか落ち着きを取り戻したが、いまだ顔色は悪いままだ。
「あ、あの、大丈夫ですか……?」
「……君は、本当にその神の力をその体に宿しているというのかね?本当にそれでいいのかね?」
「はい?」
本気で訳が分からない、というのが顔に出ていたらしい。軽く息を吸って気を落ち着かせると、質問を少し変えてきた。
「どうやら、君は自分の持つ力の性質も知らずに使っていたようだな。無知は悪ではないが、この場合はいささか危険すぎる。君は、これまでにも自分の中の黒い衝動に突き動かされたことがないかい?」
「えっ、と……」
どうしよう、心当たりしかない。思い返せばカミューラ戦、いやその前のダークネス吹雪さん戦に始まって光の結社洗脳中、近いところだとコブラ戦やゾンビ化したクロノス先生戦などなど、僕がダークシグナーになってから怒りに身を任せたことは数多い。ただその場合、勝率はお察しだけど。
「そもそも、地縛神というものがそもそも何者なのか。これも知らないというのかね?」
「地縛神が……?」
そういえば、そんなこと考えたこともなかった。最近はちょっとすれ違いぎみだったとはいえ僕が生き返ったあの時からずっとそばに居てくれて、辛い時には力を貸してくれたし、何度も何度もその圧倒的な力で絶望的な盤面をひっ
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