ターン58 鉄砲水と精霊の森
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「う……痛っ」
目が覚めたのは、固い地面の上……なんかつい最近も同じようなことがあった気がするけど、あの時は下が砂漠の砂だからまだマシだった。今回はただの地面の上なため、そこでずっと寝ていた体のあちこちが痛い。
ぼんやりした頭でそこまで考えたあたりで、だんだん思考がはっきりしてきた。十代達は、あの砂漠の異世界から脱出できたんだろうか。レインボー・ドラゴン、見てみたかったな。
「だけどまあ、まずは自分の心配しなきゃ、ねえ?」
独り言ではない。チャクチャルさんに同意を求めるつもりで声に出したのだが……なぜか、いつまで経っても返事が返ってこない。さっきはあれだけ馬鹿馬鹿しい負け方したわけだし、そうでなくても最近すれ違いぎみだったからついに愛想尽かされたのかな。気にはかかるけども、チャクチャルさんがコンタクトを取らないと決めたのなら今は僕から無理に話しかけることもないだろう。そもそも向こうの方が圧倒的に年上なんだし、下手なことはしないに限る。
気持ちを切り替えて周りを改めて見まわすと、どこかの暗い森の中にいるようだ。頭上にはこんもりと葉が生い茂っていて空が見えないし、いかにも樹齢長そうな木々や僕の寝ていた地面にはうっすらとした苔が覆いかぶさって余計に鬱蒼としている。
「すいませーん、誰かいませんかー!?」
とりあえず大声で怒鳴ってみるが、自分の声がむなしく響くだけで終わる。仕方がない、こういう時はとりあえず川を探せばいいという話は聞いたことがある。なんといっても水があればとりあえず命は繋げられるし、川の流れに沿ってひたすら下流に行けばどんな森や山からも抜け出せるからだそうだ。こんな話を最初に聞いた時にはあくびしながら聞き流してたものだけど、そのおかげでやることができてパニックにならずに済んでいるのだから人生何が幸いするかわからない。
とにかく水の流れる音でも聞こえないかと耳を澄ますと、ほんのかすかに音が聞こえた。といってもそれは期待していた川の流れる音なんかじゃない、何か、かなり大きい犬のような動物が、かすかに唸っているような……。
チッ、と舌打ちし、それに反応するように唸り声がさっきよりも近くで聞こえたことに自分を呪いたくなる。何やってんだ僕、下手に大声を出しただけでなく舌打ちまでして2回も場所を教えるなんて。よく考えればこの世界にだって精霊がいることぐらい予想がつきそうなものなのに、なんでその程度のことを最初に考えなかったのだろう。幸い苔のおかげで足音はほとんど吸収されるはずだし、とにかく距離を取って……いや、それをしたって匂いなりなんなりで追いかけられる可能性の方が高い。ここはひとつ、待ち構えて返り討ちにしよう。
「ハンマー・シャーク、ツーヘッド・シャーク、召か……え?」
腕につけっぱなしのデュ
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