暁 〜小説投稿サイト〜
『チロの物語』
『死去』

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僕はうなだれてた。

陽射しが強く
蒸し暑い午後に
急に嫌な寒気がした。

庭の桔梗と
戯れてた僕の
目に留まったのは
泣いてる流那チャン。

急いで何かを
探してた。

そして、胸に
抱えてたものが
お母さん猫だって
気付いた時には
流那チャンの顔を
見れなかった。

聞いたこと無い
流那チャンの
哀しい泣き声。

流那チャンは
どんなに辛くても
どんなに悔しくても
泣かなかった。

泣きたい時に
必死で堪えつつ
いつも言ってた。

『泣けばええ思て!
って言われるん
いっちゃん好かん!
絶対泣いたらん!
意地でも
涙流したらんわ!』

そんな意地っ張りで
負けず嫌いの
流那チャンが、
声を上げて
体の中から何かが
溢れ出すように
素直に泣いてたんだ。

僕もすっごく
悲しくなった。
流那チャンに
そっと寄り添った。

そして、流那チャンは
お母さん猫を
オリーブの下に
埋葬したんだ...

流那チャンが
毎日あげてた
特別なゴハンと、
向日葵と桔梗を
そっと添えて...。



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