暁 〜小説投稿サイト〜
トラベル・トラベル・ポケモン世界
16話目 漆黒の者(裏)
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目に入った。
(さっきの黒い人たちが向かった方向よね。駆除が始まったのかしら?)
 最初エレナはそう思った。しかし、立て続けに爆発が起き、火災も広がる一方で、消火活動をしている様子もない。害ポケモンの駆除にしては、周囲の事を全く考えていないようにエレナには思えた。
「アブソル、ちょっと様子を見にいきましょ!」
 エレナはアブソルに呼びかけ、炎が上がっている方向へ進んだ。



 エレナが謎の爆発と火災の現場に近づいた時、気がついた事があった。
(この一帯だけ不自然に日差しが強くて乾燥している……きっと、ポケモンの技“にほんばれ”だわ)
 “にほんばれ”は、周りを乾燥させて霧や雲を一切除去して天気を変え、強い日差しを発生させる技である。
 エレナはさらに炎が上がる方へ近づき、ついに一連の火災の犯人と思われる者を発見した。
 黒い犬のような姿をしており、ヘルガーの進化前のポケモン。悪タイプかつ炎タイプで、ダークポケモンのデルビル。そのデルビルが口から炎を吐き、森の木々を燃やしている。
 デルビルの後ろでは、先ほどエレナが見た漆黒色の服の者が、デルビルに指示しているのが見えた。
「ちょっと、アナタたち! 何をしているんですか!?」
「ああ!? 速いな、もう来たのか? ってアレ……子供?」
 エレナが声をかけた黒服の男は、突然のエレナの登場に驚いている様子であった。
 黒服の男は、少し優しい声で(さと)すようにエレナに話しかける。
「なあ、お嬢ちゃん。ここは危ないから早く帰んな。火事に巻き込まれて火傷したくないだろ? 分かったら、隣のアブソル連れて早く帰んな」
 男は、エレナが間違ってここに迷い込んでしまった子供だと思っているような口ぶりであった。
 エレナは、迷い込んだ何も知らない子供という相手の認識を変えるべく、冷静に相手に話しかける。
「アタシは旅のポケモントレーナーです。さっき、不自然な爆発音が聞こえて、そこが火事になっているのを見て、何が起こっているのか確かめに来たんです。何をしているのか、教えてくれませんか?」
 エレナの言葉を聞いた男は、エレナに向ける視線の種類が変わった。エレナが最初に、自分がトレーナーだと宣言したことも効いているのであろう。
 この状況に限って言えば、自分がトレーナーであるという宣言は、火災を引き起こしているデルビルを力ずくで止める事もできる、という脅しの意味を言外に含んでいる。
 男が口を開く。
「お嬢ちゃん……俺たちは大人の仕事をしているんだよ。子供が大人の世界に首をつっこむとロクなことにならないぜ。さっさと帰りな」
「大人の仕事とか、大人の世界とか、大人って言葉でなんでも誤魔化さないで下さい」
 エレナが全く退く気がないことを悟った男は、静かに語りかける。
「お嬢ちゃん
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