16話目 漆黒の者(裏)
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動作として頭の刃で斬りつけているだけである。
「また失敗ね……でも大丈夫! アナタなら絶対にできるようになる! さあ、もう1回やってみましょう!」
エレナに励まされ、アブソルは再び技の練習に入る。“つじぎり”が空を切り、“サイコカッター”が地面に放たれる。しかし今度は、2つの技の時間差が大きく、別々に2つの技を使っている状態になってしまった。
ちなみに、“サイコカッター”を地面に放つ理由は、周りの環境を破壊しないよう配慮した結果である。
最初は森の木をサンドバッグの代わりにしようと考えていたエレナだが、“サイコカッター”で生み出された念の刃が、木の1本にとどまらずに進路上の全ての木を切り裂きながら飛ぶ光景を見て、地面に放つことを決めたのだ。
今エレナがいる森はポケモンバトルが全域で許可されているので、少しくらいの破壊行為には目をつぶってもらえるが、1発放つごとに進路上の木を消滅させる技を何度も放つことはさすがに許されない。
技の練習で疲労がたまっている様子のアブソルを見て、エレナはアブソルを休ませることを決めた。
「アブソル、一旦休憩しましょう」
エレナの言葉を聞いたアブソルは、エレナの方に進み、すり寄ってきた。エレナは両手を広げてアブソルを受け入れる。この時、アブソルの頭の刃には十分に気をつける。
エレナは以前、アブソルとスキンシップをとっている時に、不注意でアブソルの頭の刃で自分の腕をザックリと深く切ってしまった苦い経験があるのだ。
森の中で見晴らしの良い崖を見つけたエレナとアブソルは、崖の上で休憩していた。心地よい風が吹いている。とても平和な空間であった。
ふとエレナは、自分が座っている崖の下に向かって、遠くから大勢の黒い服の者たちが移動していることに気がつく。全員がそろって漆黒色の服を着ている。
漆黒色の服の集団は、エレナがいる崖の下で止まることなく通りすぎていく。皆が黙々と歩く中で、1人だけ大きな声で喋りながら歩く女と、その女に応答する男だけが声を発している。
エレナがなんとなく見ていると、大きな声で喋っている女だけは漆黒色の服に合わないような派手な装飾をつけていることが分かった。
(なんの集団か分からないけれど、きっとあの女の人が集団の中では立場が1番上なのね)
場の雰囲気と状況で、直観的にエレナはそう思った。
エレナの耳に、女と男の会話が入ってくる。
「まだ着かないのかしら? いい加減、こんな何も無い森の風景にも飽きてきたわ」
「決められた地点までもう少しですので、辛抱して下さいシャルラ様……」
「だいたい、なんで決められた場所なんてあるのかしら? なんなら、ここでもいいじゃないのよ。ここでだって目的を達成できるんじゃないのかしら?」
「我々も上から言われ
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