16話目 漆黒の者(裏)
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時刻は昼頃、ビライ山のふもとに広がる森。
暖かい日が差し込むその森に、1人の少女がいた。彼女の名前はエレナ。グレイと同じ町の出身、同い年の少女である。
エレナの前には、エレナの手持ちポケモンの1体であるアブソルがいる。
白い体毛に覆われた四足獣のポケモンで、顔の横には鋭い鎌の形をした角が片方側だけ生えていて、尻尾も鋭い刃の形をしている。わざわいポケモン。悪タイプのポケモンである。
「もう1回よ。アブソル! “つじぎり”、“サイコカッター”!」
エレナは目の前のアブソルにそう指示した。
アブソルは頭にある刃の角を振りかぶった。空気を切り裂く音と共に刃の角が振るわれる。一瞬で相手を切り裂く、悪タイプの攻撃技の“つじぎり”である。
さらにアブソルは、刃の尻尾から不思議な色の刃を作り出し、地面に向かって放った。念を実体化させてできた刃を飛ばす、エスパータイプの攻撃技の“サイコカッター”である。
「ダメ! また攻撃のタイミングが別々になってる! もう1回!」
エレナは現在、自分のポケモンを鍛えるために、アブソルに技の練習をさせている。今は2つの攻撃技“つじぎり”と“サイコカッター”を同時に放つ練習をしている。
2つの技を同時に使うことができれば、少ない攻撃チャンスでより多くのダメージを相手に与えることができ、戦いを有利に進めることができる。
しかし、2つの技を同時に操るのは非常に高度な技術である。アブソルは練習では“つじぎり”と“サイコカッター”を同時に放てることがあるが、実戦で使えるレベルには至っていない。
しかし、エレナにとって2つの技を同時に操る事は、習得不可能な現実味の無い技術という感覚では決してなかった。エレナの手持ちポケモンには既に、2つの技を同時に操れるジュカインというポケモンがいるからである。
ジュカイン、みつりんポケモン。草タイプのポケモンで、二足歩行する恐竜のような緑色のポケモンである。ジュプトルの進化後のポケモンである。
エレナのジュカインは、草の剣を生み出して相手を斬りつける“リーフブレード”と、草の銃を作り出して相手を連射する“タネマシンガン”の、2つの技を同時に操れるのである。片手で剣、もう片手に銃、といった具合である。
ジュカインは腕が2本あるから、腕を1本しか使わない技なら2つ同時に操れる。同じ理論で、アブソルは頭と尻尾の2箇所に刃があるので、刃1つで放てる技ならば2つ同時に操ることができる。そうエレナは考えていた。
アブソルの頭の刃と尻尾の刃が同時に振るわれる。しかし、“サイコカッター”が放たれたものの。“つじぎり”は失敗に終わった。空気を切り裂く音が聞こえてこないのが証拠である。
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