誕生日記念 野良猫と出会った僕
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「うわっ、凛ちゃん...起きてたの?」
「ううん、今さっき起きたところ」
むくりと起き上がるとまるで猫のように背伸びをする凛。猫そのものになりきろうとしてるのかな?
じんじんと左太ももに痺れを感じる。これはしばらく動かさないほうがいいのかな。
「ねぇ春くん、何を考えていたのかにゃ?」
「なんでそう思ったの?」
「ん〜...わかんないにゃ。なんとなくそう思っただけ」
「そっか〜。まぁ、考えてたよ?」
「何々?りんにも教えて!」
「...僕たちが出会った頃の事だよ」
「え?あぁ、なるほど」
気まずそうに頷いて充電していたスマホを引き抜く。
すると突然凛は尋ねる。
「りん、あの頃と比べて...変わったかにゃ?」
手探りのように少し間を置きながらだった。
僕は遠回しに言わず、ストレートにぶつける。
「凛ちゃんはなにも変わってないよ」
「そう...だよね。うん、そうだよね」
「でも僕は、凛ちゃんには変わって欲しくないなって思ってみたり。ううん、そのままでいてほしいよ。どんなことがあろうとあの時の凛ちゃんも、今の凛ちゃんも大好きだから」
「......うん、うんっ」
また嬉しそうに笑ってるな〜
それが僕にとっても嬉しくて恥ずかしさを紛らわせるために凛の頭をいつもより強く撫でる。
「ちょちょっと春くんどうしたにゃ!!あははっくすぐったいよ〜!!」
そんな感じで。
そんな感じでこんな感じで僕たちは出会った。
結局のところ、凛と仲良くなれたことはとてもうれしいけど、まだ凛の抱えている闇というモノは払拭されていない。凛は、まだ自分が女の子らしくないと自分で押し殺している。
今後、たくさんの仲間と関わって、凛は変わるだろうと思ってる。
僕だけじゃない。花陽だけでも。
きっとμ`sのみんなが凛を救ってくれるだろう。
「ねぇ春くん」
「ん?」
「...かよちん、まだ寝てるね」
「そうだね...」
「あの、さ」
「...どうしたの?」
妙に歯切れが悪い。きっと話しにくい事なのだろうと予想して、僕は膝に頭をのせて寝ている花陽を起こさないようにゆっくり下ろして凛に向き直る。
「りんたち、あとどれくらい、一緒にいられますか...?」
真面目だった。
僕は考える間もなく、すぐに答えた。
「もちろん、ずっとだよ♪」
───僕は、二度目の、凛の心から嬉しそうな笑顔を見ることができた。
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