誕生日記念 野良猫と出会った僕
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りしめた。
『...え?』
『ねぇ、凛ちゃん』
初めて彼女のことを下の名前で呼んだ。それによりびっくりしたように目を見開くもすぐにその頬は緩んで嬉しそうに、にへらぁと口を綻ばせる。
言わなきゃならない
友達に嫌われてしまった。子猫にケガをさせてしまった。自分は女の子じゃないと否定されてしまった。自分に自信が持てなくなってしまった。自分が嫌いになった。頼れる仲間がいなくなった。
ううん、そうじゃないよ。
君には、君のことをわかってくれる大切な友達が”親友”がいるんだよ。
それを彼女に伝えたい。でも、僕も恥ずかしがり屋なのでもっと簡潔に、そして、確実に伝わるように...今から言うね。
『僕たちと──』
『私たちと友達になって...欲しいな?』
...え?
僕はポカンと口を開けて隣の花陽を見る。
花陽は満足げにぺろっと舌を出して誤魔化した。
『春人くんばっかりずるいよ?私だって...凛ちゃんともっと仲良くなりたいんだから♪』
『で、でもまさか花陽ちゃんに言われるとは思わなかったよ。しかも被せてきたよね?わざと?』
『しーらないっ♪』
僕らのやりとりに、遂に凛は笑顔を見せた。目から雫を零しながら笑ってくれた。それだけ、言えてよかった気がする
......まぁ、言ったのは花陽なんだけどね。
『あはははっ!春くんまんまとやられたね!』
『あ、あぁぁ僕がせっかく言おうとしたのに〜!』
やっと、僕らは初めて”友達”になれた光景だった。
僕がいて、花陽がいて...そして、凛という新しい”風”を置く。
そうすることで僕らは僕らの絆が生まれる。
誰にもできない僕たちだけの。
僕はそれで満足だった。
僕が笑う
花陽ちゃんも笑う。
凛ちゃんも笑う。
それが、”僕たちの始まり”だ。
初めて見せる、心のそこからの笑顔。
僕は......嬉しかった。
Epilogue...
僕は懐かしさのあまり無意識に一人でほほ笑んでいたようだ。
それに気づいた時、僕は恥ずかしくなって両手で顔の熱を冷ます。ふと、それが習慣化されたように時計に視線が向く。丁度短い針が『4』を指していた。
訪れる欠伸を噛み殺しながらうんと背伸びをする。
「何ニヤニヤしてたのかにゃ?」
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