誕生日記念 野良猫と出会った僕
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Prologue...
今日も今日とて、僕達三人はいつものようにまったり休日を過ごしていた。
ここは僕の家。僕たちはベッドに座り、壁に背中を預けるようにしてもたれかかり、花陽と凛は僕にもたれかかるようにして静かに寝息を立てていた。
...静かだなぁ。
僕が息を殺してみると、時計の針が均等に時を刻む音が聞こえてくる。水色のフレームであるその時計は小学六年生の時の誕生日プレゼントとして買ってもらったもので、最近よく止まることが多くて寿命が来てるのかもしれない。でも動かなくなるまで使い続けようと思う。
ほら、勿体ないからね。
そして今度は窓の外を眺める。
少し曇りのかかった天気で今にも雨が降り出しそうな、そんな気がする。
電線には何羽の烏が停まっていて、『カァ!カァ!』と鳴き声を上げている...のかもしれない。
だって窓越しの景色だからよく聞こえないのだ。嘴の動きで判断しているので......
「あ、今お腹が鳴った...」
ぐぅぅぅと腹の虫が鳴り、そういえば朝ご飯以降何も食べていないことに気づく。
下に降りてパンか何かつまんでこようと考えたけど、両サイドで花陽と凛にがっちりホールドされているために身動きが取れない。
仕方ない、我慢しよう。
そして僕はまた視線を時計に戻してぼーっと眺める。
何もすることがない。でも、こんなことはよくあることで別に嫌だとか思ってもいない。むしろ居心地がいい。
こんな光景は幾度となく見てきた。そう、小学生の時からずっとずっと...
ふと、僕の頭の中に小学時代の思い出が甦って来た。
その数々の思い出の中で特に印象深く掘り起こされるひとかけら。
僕は涎を大量に垂らして僕の服を汚す凛を見つめる。そして、その綺麗な髪の毛をそっと撫でながら僕は......振り返っていた。
──僕と花陽ちゃん、初めて凛ちゃんと出会った時の思い出を。
時は遡ること七年前の小学三年生の春。
僕と花陽は幼稚園の入園式の頃からずっと一緒で、今回のクラス替えでも見事に同じクラスになってはしゃいでいた春。
新しいメンバーと仲良くなれるか期待と不安が強くなる春。
難しい勉強にもついていこうと気を引き締める春。
そして。
そして。
『あ、君が僕の隣の席の子なんだね?よろしく!』
僕と花陽の輪に新しい”幼馴染”が加わる春。
隣の活発そうな女の子は言った。
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