EPISODE04勇者V
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「セシリー=キャンベルと申す」
「……ルーク=エインズワースだ」
しばし、沈黙が流れた。
「ここは鍛冶屋と聞いた。ぜひ注文がしたい」
「なんだ客か」
独立交易都市ハウスマンのはずれに位置する工房リーザ。
騎士として、初めての実戦を体験したばかりのセシリーは、とある場所へ足を運んでいた。
あまりにも人里から離れている為、工房リーザに至るまで少し彷徨っていたようだ。
セシリーが来る以前にも、実は一人の青年が訪れた事がある。
その青年とは、ちょうど彼女が三番街自衛騎士団に入団した数日後に流星の如く現れた。
彼の名は獅子王凱。
既に工房リーザの親方、そして弟子とは凱と面識があることを知ったセシリーは、リーザに至るまでのルートを求めた。
一応リーザも『街』に属するが、それも名目ばかり。
基本的構造は根っからの農地であり、それを幾重にも分断するような農道が枝分かれしている。ただでさえ理解しがたい住所なのだから、凱が手掛けた詳細地図なしではとてもたどり着けない。
よくガイはここが分かったなぁ、とセシリーは改めて凱に感心していた。
「言っておくが、ウチは実用品限定だぞ」
「打ってくれないか?あなたの剣と同じ業物を!」
無機質な眉毛がピクリと動いた。それが目的かと言わんばかりに、その瞳も鋭さが増す。
誰にも気づかれないような仕草で――
「悪いが剣の鍛錬は親父の代で廃業したんだ」
「何!?」
「悪いが別の店をあたってくれ」
この台詞をあの男に吐いたばかりだな、とボヤくルークを余所に、諦める事ができずセシリーはしぶとく食い下がる。
「え?でもあの剣はあなたが作ったのだろう!?ガイとリサに聞いたぞ!」
「お茶が入りました♪」「リサ!」ルークの視線がギロリと光る。標的となるのは弟子のリサただ一人だ。
はわわと怯えるリサが慌ててお茶をこぼしつつ、ひょっこりと身を隠すのだった。なんとタイミングが悪いことか。
「素晴らしい技術じゃないか!なぜ無名でいる!?」
「……」
「ルーク!あの剣の……カタナの力を自覚しているはずだ!」
「悪いが帰ってくれ」
同じ台詞を繰り返し吐くルークは、まるで独り言のように己の心境を呟く。
「俺は俺の為に刀を打つ」
――昔に……そう決めたんだ――
窓越しから、はるか遠くに映る活火山を見つめるルークの横顔は、どこか寂しげに見えた。
「セシリーさん、刀をご存知ですか?」
「いや、ガイからその剣の名を聞いただけなんだ」
「ああ、あの髪の長い人ですね」
二人が凱の名前をいい、ルークは感心を引きつけられる。
(シシオウ=ガイ……か)
不思議な雰囲気のする人だなぁ、
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