暁 〜小説投稿サイト〜
神剣の刀鍛冶
EPISODE04勇者V
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の頭上に降りかかる瞬間……凱もまた翠碧の刃を抜剣する!

「ウィルナイフ!」

バチィィン!!
異文明の獅子からもたらされた基本設計を元に製造された短剣が、マーゴットの魔剣ロンパイアと激突する!

「そんなひび割れたナイフでいつまで耐えられるのかしら?」

その指摘はごもっとも。事実、工房リーザへ打ち直しを依頼したが現状変わらず、ナイフは芯が損傷を受けたままである。
今の凱はまさに両腕を封じられている。後方に控えていたペネロペは気を伺おうとナイフを光らせている。

「おおおおお!!」

それでも負けまいと、凱の意志が強くなる!
ウィルナイフは、所有者の意志の強さでその切断力は増していく。折れそうな外見とは裏腹に、翠碧の刃が徐々にロンパイアの光の刃へめり込んでいく。
その尋常ならざる現象に、マーゴットは戦慄を覚えた。
だが、凱が不利な状況である事は変わりない。
市街地における周囲の被害と背後の彼女を気にせずにはいられない凱より、造作物を薙ぎ倒しつつ迫る三人の方が優位に立つのは自明の理だ。
そんな凱を心配した彼女は、激しくまくし立てた。

「ねえ、早く逃げようよ!三対一じゃ勝てっこないよ」

「それは出来ない!」

「どうして!?怖くないの!?」

「怖いさ、だけど!」

――怖いキモチ以上の感情が、勇気が俺を動かしてくれるんだよ――

「ユ……ウ……キ?」

「そうさ、一度怖いキモチから逃げちまったら……」

――勇者として二度と敵に立ち向かえなくなる!――

最高にまで高められた意志の強さは、折れない心は確かな力となって均衡状態を打ち破る!
右手のウィルナイフは大地の魔剣を振り払い――
左手が発する翠碧の力は、赤光の魔剣を打ち砕き――
蓄積された分の奔流は、全て弱い方へ流れていく!

「だから俺は……勇気だけは捨てないのさ」

後ろを振り向き、親指をグッと軽く立てて、優しい笑顔を彼女にふりまく。凱の仕草一つ一つが、大きな安心感を後ろにいる彼女にもたらしてくれる。

(……バカ……かっこよすぎじゃないの)

少し顔を赤らめ、凱の視線からちょっと目を背けた。これ以上凱の凛々しい顔を見ていると、震える心が、感情が沸騰してしまいそうだからだ。
強烈な奔流に弄ばれていたドリス達は、辛うじて体制を立て直し、尚も凱に牙を向ける。
その動作が示す意味は、まだ闘志を失っていない証拠だという事だ。

「仕方ねぇ……じゃ、こっちも本気を出すか!」

「あいつら、まだやる気か!?」

どうやら、事態は収まる気配を見せない。互角に見える戦いかもしれないが、結果は火を見るより明らかである。
長期戦になれば、確実に殺される。
IDアーマーさえあれば……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ