EPISODE04勇者V
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女は思わす心を震わされた。
「あたしは……アリ」
「おい、そこのお前!」
名乗りかけた時、乱暴な介入を果たす賊に出くわした。人目のつかない夜を狙っていたのかもしれない。夜の戸張とマントのせいで特徴が確認し難いが、小柄な体格からして少女と推測できる。
「あんたが騎士で……」「あっちが魔剣でいいんだな」
何を言ってるんだと、凱の中の不安感は一段と高まる。黒衣で登場する地点で、少なくとも一般市民ではない事が理解できる。そして、その不安は的中する形となる。
(あいつらの狙いは……この子か)
彼女を庇うように凱は前方へ躍り出る。
「お前達の狙いは何だ!?」
「あんたに用はない!そこの魔剣をよこしな!」
ますます意味が解らない。魔剣が一体何処にあるんだと言わんばかりに、凱の表情は険しくなる。まさしく魔剣と言う単語が彼女を差しているかのような言い方だ。
思考する暇を相手が許すはずもなく、三人の賊は臨戦態勢に入る。
「俺はシャーロット様の従者が一人、ドリス」
一人は両刃の大剣クレイモアを引っ提げて――
「そして私はマーゴット」
一人は逆刃刀ならぬ逆刃の長槍ロンパイアを携えて――
「私の名はペネロペ」
一人は球状の鍔が特徴的なナイフを掲げて――
三人の戦士は獅子王凱という標的を定めて肉薄する!
「「「全てはシャーロット様のために!」」」
鬼気迫る三人に対し、凱は応戦態勢に入る。
「ちっ!戦うしかないのか!」
「本気なの!?向こうは三人だよ!」
凱の背後に隠れながら、彼女はあたふたしはじめた。
「だけど、向こうはやる気満々だぜ」
凱の言葉通り、賊の一人であるドリスは大剣を優々と掲げていた。
「死んでも……恨むなよ!」
大剣を大地に突き立てた!
凄まじい力の奔流が凱を目がけて突き進んでいく!
対して凱は背後にいる彼女を庇うように、左手を突き出して――
「大地の魔剣を受けとめやがった!?」
「うそ!あいつ本当に人間なの」
分厚い外壁を吹き飛ばす力場をも受け止める。その事実はこの場にいる全員を驚かせた。
全身を翠碧に染め上げ、左手の甲には「G」の文字が浮かび上がる。
「ぐっ!なんてパワーだ!」
凱を襲う大地の衝撃波は凄まじく、踏ん張っていた足はたまらず後ずさりをする。
徐々に大地が減りあがっていく。逆に凱の足がめり込んでいく。
大地の衝撃波と翠碧の力場が均衡状態を演出する中、頭上の視界にはロンパイアの刃が延長された赤光が襲いかかる!
「これはどうかしら!?」
「何!」
「これなるは赤光の魔剣、ロンパイア!」
長槍の紅き刃が凱
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