第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#9
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE
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粉を振り捲いて灼熱の紅に変貌する。
唖然とする吉田を後目に、承太郎が鋭い視線で彼方を見つめた。
「人喰いのバケモンが、最低でも五体。
その中に混じって 『スタンド使い』 の気配もしやがる」
「なんですって!?」
「おまえみてぇに、正確な数や位置までは解らんがな。
だが確実にいる……!
この薄ら寒い感覚は、間違えようがねぇ……!」
野生動物でも、同種とそうでないモノを察知する能力は持っている。
ソレが自分に害を及ぼす存在であるなら、尚更。
これまで繰り広げてきた幾つもの死闘を通し、
承太郎の感覚は戦闘時に於いて
以前にも増し研ぎ澄まされていた。
「どうする? 承太郎」
以前の彼女なら、そのまま燃え盛る使命感の許
戦場のただ中に身を投じていただろう、が今は違う。
あくまで冷静に、私情を諫め、
心から信頼できる者と共に戦う事を望む。
「相手の出方が解らねー以上、
取りあえずブツかってみるしかねーだろう。
そのバカデケェ二つの所にはオレが行く。
ジジイと花京院は、それ以外の場所を頼む」
「ふむ」
「解った」
強者である程、真の実力を隠すのも巧い。
ソコを見落とす承太郎ではないが、
怖じ気づいていても勝利は永遠に掴めない。
「……」
その傍らで、自分を見上げる少女。
不安なような何かを期待するような、そんな様相。
「一緒に行くか?」
「勿論!」
おそらくは一番危険な場所への帯同を、
シャナは嬉々とした表情で応じた。
やはりと言った微笑を刻み、
スタンド使いとフレイムヘイズは同時に駆け出す。
途中一度僅か振り返った少女が、
明らかに勝ち誇った顔で吉田を見た。
「――ッッ!!」
どうしようもない、卑怯だとすら想わせる憤激が彼女の裡で燃え盛った。
「待ってください! 私も!」
反射的に駆け出そうとする吉田を、エリザベスが制する。
「止めなさい。感情のままに先走ったら、戦場では確実に命を落とす。
“ソレが如何なる理由であろうとも” 解るわね?」
口調は穏やかで丁寧だったが、
有無を云わさぬ厳格さが在った。
消えない過去の痛みに屈する事なく、
最強の波紋使いは威風堂々とした声で告げる。
「さぁ! 何をしているの?
この娘は私が護るから早く行きなさい!
今この間にも、この街の人々が危険に晒されているのだから!」
「わ、解った! 母さんも気をつけてな!」
「後を頼みます! DIOの追っ手は、
一人残らずボク達が倒します!」
陽炎の揺らめく埠頭で戦いに赴く者達を見送りながら、
エリザベスは追憶と共に彼等の無事を心から祈った。
この世ならざる二対の瞳が見据える、
全長数十キロを超える巨大な封絶中心部。
ソコ、に。
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