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神剣の刀鍛冶
EPISODE01プロローグ
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なんとなくわかるわよ。なんだったら新
しい剣に乗り換えたら?紹介してあげるわ」

「でも、ほとんどの鍛冶屋は鋳型専門じゃないか。決められた型を注文通りの数量で作る。それじゃダメなんだ。できれば鍛錬する工房があれば……」

「ん〜〜ガイがそのナイフを相当使い込んでいるのは分かるけど、それほど優れたナイフとは思えないわ」

確かに、ある意味ではパティの言う通りである。
それでも凱は、異文明の獅子の恩恵である短剣の修理を諦めることはできなかった。実の所、凱はウィルナイフで、この大陸のあらゆるマテリアルの試し切りを行っていた。
木材しかり、金属しかり、そして刃しかりと、徐々に対象物の硬度を上げていった。

(持ち主の意志で切れ味が自在に変化するが)

結果、ヒビ割れたウィルナイフが折れるどころか、逆に対象物であった剣が折れたり切れたりしてしまう始末である。これではまだウィルナイフを装備したままのほうがいいに決まっている。
とはいえ、やはりひび割れたままでは心もとない。だから凱は手探りで修理方法を探しているのだった。
そのことをパティに伝えると、改めて凱に情報提供する。

「『魔剣』ならあなたの要求にこたえてくれなんだけどな」

「魔剣?」

「未知の力を宿す剣と言われていて、来月の「市」には出品するらしいわよ」

「へぇ、未知の力を宿す剣か。一度お目にかかりたいもんだぜ。俺の給料じゃ到底手の
届かないシロモノだろうからな」

「ねぇ、ガイ。ここに行ってみたら?」

そういわれて、凱はパティから一枚の紙切れをもらう。

「私の知り合いが小物を作ってもらってる工房なんだけど、気晴らしにどうかなって」

「工房……リーザか」

詳しい内容はこうだった。実用品専門の工房で燭台なんかも受け付けている。剣以外なら何でもござれと言ったところか。
たまには方向を変えてみるのもいいか。

「ありがとう。早速行ってみるよ」

そういってパティに一礼すると、凱は気分転換がてらに足を運んで行った。





【同年・独立交易都市・7番街の奥地】





「こんなところに鍛冶屋があったんだ」

感慨深そうに、凱はつぶやいた。
三番街と違って、ここ工房リーザのある7番街は、森林や畑が大半を占める農地だ。果てなく続くような農道を抜けていくと、薄っすらと灰色がかぶっている森が、そして巨山が見えてきた。凱の故郷で表現すれば、まるで富士山が巨大な雲の傘を被ったようだった。それがなぜか、印象深かった。
古めかしい家の戸の前に立ち尽くした。見た目は確かに古いが、年季がかかった雰囲気も感じられる。秘めたる何かを隠しているような――

「……さて、入るか」

気を取り直して、ノックしようとす
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