EPISODE01プロローグ
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しい。早速凱は交易都市の役所を回って、かくかくしかじかで何とか必要事項の原本をGETした。
最初、身元不明の流民者と思われて軽遠されると思ったが、それは杞憂に終わった。
もともと、独立交易都市は多種多様な人種、国籍、流浪の旅人等が混在している。褐色肌の南国人や独自の文化をもつ東洋人、異彩虹瞳()」の西洋人様々だ。
(シシオウ=ガイって名前……なんだか可笑しいと思われたかもな)
発音し難い名前を、公務役所の受付で申し出た時、不思議そうに役人さんがこっちを見ていたのが印象に残っている。やっぱり偽名を使うべきだったか。と言っても、偽名なんて思いつかないけどな。
今更登録したのだから気にしていても仕方がない。俺はこの世界で「凱」ではなく「ガイ」を名乗る。
市民権が手に入らなければ、金を手に入れる手段としての仕事もつけず、それどころか、独立交易都市での行動にも極端な制限が設けられる。市民権をモノにできたのは大きな進展だといえよう。
苦労の末、次に凱が向かったのは、都市の住所を斡旋している、凱の故郷にある「不動産」に該当する場所だ。
この世界にも不動産屋があるのか?半ば疑いつつも、その不動産屋に該当すべき場所を探し回っていた。しかし、市民権を手に入れた時のように簡単にはいかなかった。
市民の住所を管理業務している公務役所の「市営住宅課」に問い合わせてみた。
なけなしの予算と希望を告げたところ、役人さんはえらく渋い顔をしながら、凱にある物件を提供した。その第一声がこれだ。1・2・3
「流石に……これは……」
異世界を訪れたばかりの凱でも、すぐ一目でわかるほどの老朽化した建築物だった。そもそも、建築物と呼ぶには程遠い、まるで何かの跡地のようなものだ。例えるなら、山賊とかの夜盗が拠点とするようなひどいものだ。リフォームしても、なかなか新品にはならないほど、原型をとどめていない。(そもそもそんな金は凱にはないが……)
悪い方向を予感していたとはいえ、身元不明の怪しげな大の男を受け入れてくれる所など、そうそうあるものじゃない。とりあえず、横になれる場所が確保できただけでも良しとしよう。
こうして、僅かにだが、凱の新しい生活に花開くのだった。
さらに翌日。凱は体を休める暇もなく、仕事探しに熱を入れた。
中世期レベルの文明だと、さすがに電気、ガス、水道、をはじめとしたライフラインが確立されていない。生活の基礎が元の世界と違うので、生活習慣も改めなくてはならない。数日の間は、オンボロ住まいと相まって、道端の雑草を食すような野営に近い生活が続いた。これでは元の世界へ帰れる進展があるはずもない。「どうやって元の世界に帰るか」から「どうやってこの世界で生活していくか」へと、徐々に本来の目的が薄れていく。
かつては、地球をあらゆる脅威から守
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