EPISODE01プロローグ
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だったな」と声をかけられて凱は役所の外へ放り出された。それからして――
「……どうする?」
第一声がそれだった。冗談抜きで考えなければならない。
おそらく、凱のいる世界はGGG「ガッツィ・ギャレオリア・ガード」の管理外次元世界の可能性が高い。もし、GGGの管轄世界なら、凱の「受信機」に何かしらの反応が占められてもいいはずだ。
最悪の場合、この世界での長期滞在を考慮しなければならない。
となれば、食事をしなければならない。寒気や夜の露を凌ぐ衣類、住居が必要になる。
人が生きるための「衣食住」――ハイテク文明の世界から流れ着いた凱には、現在それがない。
再びGGGのいる次元世界へ戻る手段などない。その力もなければ、算段もない。
働くしかない。働かなければ飯にもありつけない。
長い間、多次元世界を渡り歩いてきた凱はある教訓を思い出していた。
――働かざる者食うべカラス――
それは、どの次元世界にも言える事なんだなと、つくづく思った。
凱は再び己の身なりを見まわして――
「それにしても……祈祷契約か。すごいな。傷が完全にふさがっている」
パティと言ったかな、あの女性にまた会う機会があったら礼を言わないと。
ボロボロの服も、新しい服に着替えさせてもらった。上は簡易的な軽服に、下は動きやすい生地でできた薄革仕様だ。かつて、「約束の丘」で命といた時の服装に似ている。
本当は獅子篭手も手元にあればよかったのだが、現在は行方不明。もしかして収納状態に戻ってどこかの次元空間に放り出されてしまったのか?ただ、ひび割れたウィルナイフが1刀残っていたのは不幸中の幸いだった。
やや自暴気味に叫び、彼は拳を振り上げながら、夜の街道を走り抜ける。
「勇気ある誓いと共に……進めぇぇぇ!!」
こうして、元?ガッツィ・ギャレオリア・ガード機動部隊隊長、獅子王凱は未知の異世界への第一歩を踏み出したのである。
そして翌日――
獅子王凱は昨日、自衛騎士団から聞き得た情報で、自分がこの年で生きていく為には何が必要かを、市民に訪ねまわっていた。
まず、独立交易都市で最低限な生活を送る為には「戸籍登録」の代わりとなる「市民権」とかが必要らしい。それは独立交易都市の中心部、「公務役所」に行けば手に入るそうだ。飯食う為に働くには、どうしても必要との事。
助かった。都市の仕組みを粗方理解した凱は、ほっと胸をなでおろした。
(俺達の故郷と、社会構造が近くてよかった……)
異世界というのは、凱達地球人が考えているような構造を成しているとは限らない。それは貴族社会然り、純然たる軍事国家かもしれない。もしかしたら、それらの概念を覆すものかもしれない。
ここ、独立交易都市は幸いにも地球と同じ理念で成り立っているら
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