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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十話 それぞれの『優しさ』
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、それを得ていくんだろうとは思う。

 でも、俺が意味ないといったのはそう言う意味じゃない。

「でも、それをどれだけ手に入れたって、高町とすずかは俺に仲良くなんてしてくれなかった」

 この海鳴に来て、出会いと再会があった。

 もちろん、納得してない別れもある。

 そんな中で俺と関わった人全員に共通してるのはみんな、俺に対して裏がないって所だと思う。

 俺と仲良くしてくれることは、別に彼女たちにとって何の得も利益もない。
 
 転入生の俺と仲良くしてるってことを入れたって、大人がこれといって評価する対象にだってならない。

 書類上の話しをすれば、俺の成績や運動能力は共に平均並みで、自虐ではないけどモテるモテないで言えばモテない見た目だろう。

 特徴があるって言えば、背が高いとか銀髪とかそのくらい……なんか泣けてくる。

 働いてるからお金がないわけじゃないし、休暇中とはいえ働いてるけど偉い地位でもないし、なにより『魔導師』なんて、この世界の人には話せない職業だ。

 そう考えれば俺と言う存在は、彼女たちにとって下手をすればマイナスになるかもしれない。

 なら、彼女たちが俺と仲良くする理由は?

 ――――答えは先ほどに戻って一言、『優しい』からだ。

 優しくしたいから優しいんじゃない。

 そうすることが当たり前で、ずっとそうしてきたからそうしてるだけなんだ。

 ほんの僅かなきっかけで知り合って、引っかかりを見つけて、接してみて、仲良くなっただけだ。

 何にもない俺なんかだったからこそ、彼女たちはいつものように声をかけた……そんなことじゃないかなって思う。

 さて、そこでバニングスに対する問いに戻るとするならば、もし俺がお金や名誉を持った存在だったら?

 そこで高町に出会い、その流れですずかやバニングスと知り合ったら、三人は今と同じ接し方にしてくれただろうか?

 答えはきっとNOだ。

 なぜなら必要がないから。

 お金もあって、名誉もあったら俺はきっと一人でなんでもこなしてた。

 他者もうまく使いこなして、馴染むこともできてたはずだ。

 そんな俺が三人と関わったら、きっと表面上は仲良くできるのだろうけど、今のように気を許すような間柄にはなれなかっただろう。

 高町やすずかが俺と仲良くしてくれるのは、『理解』してくれたからだ。

 俺と言う存在と、心を理解してくれたから、二人も理解して欲しいと思って裏表のない感情で接してくれる。

 何もない俺の、何もないって所を理解してくれたからこそ、二人は自身を理解して欲しいとしてくれたからこそなんだ。

 お金や名誉があって接していたら、きっと俺たちは理解し合えなかった。

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