二十二話:ライフゲーム
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”……なんだ、このマス?』
「鐘の中に囚われるなんて……私が居れば鐘を溶かして差し上げますのに」
『どう考えても、それって蒸し焼き案件だよね?』
謎のマスに止まり、冷や汗を流すぐだ男に、清姫がニッコリと笑いかける。
非常に可憐な笑みなのだが、ぐだ男には何故かその姿が蛇に見えるのだった。
『とにかく、奇数を出さないと……』
「大丈夫です。偶数でも、私はどこまでもついていきます」
清姫の応援を受けながらルーレットを回す。
誰もが固唾をのみ、その結末を見守る。
『……4だ。 “残念! 鐘の隙間から服の裾がはみ出していた。来世からやり直そう』
現実は非常だった。妖怪に襲われたぐだ男は、スタートからやり直すことになってしまった。
「あははは! いい気味ね。私の車にぶつかるから、そんなことになるのよ」
『いや、俺はぶつかられた方なんだけど……』
「うるさいわね。いいから、一人みじめにスタートからやり直しなさい」
腹を抱えて笑うジャンヌ・オルタに、ムッとなって言い返すが、結果は変わらない。
しぶしぶとスタートから始めることにする。
そんなところで、部屋の扉がノックされる。
『はい、どうぞ』
「お邪魔するわね」
中に入ってきたのは、輝く銀の髪に赤い瞳を持つ美しい女性、アイリスフィールだった。
手には、お菓子とお茶が入ったおぼんが握られていた。
『あれ、アイリさん? 来ていたんですか』
「今日は、一緒にご飯を食べようって、切嗣から聞いてなかった?」
『そう言えば……』
衛宮家は両親が不在のぐだ男に、家族ぐるみで世話を焼いてくれているのだ。
時折、こうして衛宮家の夕飯にお呼ばれすることがあるのだ。
「よかったら、皆さんもどうかしら? 腕によりをかけて料理を作るわよ―――私が」
『……Pardon?』
ニコニコとしながら告げられた爆弾発言に、ぐだ男は顔を真っ青にする。
アイリスフィールは、今は一主婦として人生を満喫しているが、元は超がつくお嬢様である。
お城に住み、メイド達に世話をされて育てられてきた。
そんな人間が料理ができるだろうか。いや、できない。
「私が作るのよ。いつもは子供達にやってもらっているんだけど、たまには、お母さんらしいところを見せないと」
『そ、そのままでも、十分、母親らしいと思いますヨ』
「ダメよ。こういうのは行動で示すものだって、切嗣も言ってたわ」
既に、やる気満々なアイリスフィール。
ぐだ男は避けられない運命を悟り、友人達だけでも逃がそうと目配せをする。
それを受けて、ジークフリートが小さく頷く。
「お言葉は嬉しいのだが、家族の団欒を邪魔するわけに
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