第二十七話 新しい学校その十三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「基本洋酒派でしょ、私」
「はい、ワインとかですよね」
「ワインが一番好きだから」
酒の中でというのだ。
「ワインは甘いものにも合うからね」
「特に赤ワインはそうですね」
「ええ、赤ワインはケーキやアイスクリームにも合うわ」
それで優子もそうしたものを肴にすることがある、時にはチョコレートを食べてそのうえで飲むこともあるのだ。
「だからね」
「カステラもお好きですね」
「そうよ、それもかなりね」
「だからそちらも楽しみですか」
「長崎のカステラは違うわ」
優子はにんまりと笑って龍馬に話した。
「他の場所のカステラとね」
「ずっと美味しいですね」
「そうよ」
こう答えるのだった。
「絶品よ」
「同じカステラでも違うんですよね」
「種類も多くてね」
「長崎に行った時の楽しみの一つですね」
「そのうちの一つよ」
間違いなく、というのだ。
「長崎ちゃんぽんもだけれど」
「ああ、ちゃんぽんも忘れたら駄目ですね」
「そう、グラバー園や大浦天主堂もだけれど」
「長崎はいい場所ですよね」
「あんないい場所はないわ」
優子は微笑んだまま言った。
「本当にね」
「そこに俺も行くことになりますね」
「そうなるわね、私がいない時は優花をお願いね」
「はい、絶対に悪い様にはしないです」
「龍馬君なら絶対にそうしてくれるわね」
「あいつとはずっと友達ですから」
だからとだ、龍馬は優子に答えた。
「そうしたことは絶対にしたくないです」
「しない、じゃないのね」
「祖父ちゃんに言われたんです、人は気付かないうちに人を傷付けることもあるって」
「そうしたことはあるわね」
龍馬の今の言葉にだ、優子も頷いた。
「人は罪を犯す生きものだから」
「それも気付かないうちにですね」
「悪人ばかりが罪を犯す訳でもないし」
「善人でもですね」
「そうよ、人間は複雑な生きものなのよ」
その一面は確かにあるというのだ。
「知らず知らずのうちに罪を犯したりもするのよ」
「自分が、ですね」
「そのことを教えてもらったのね」
「はい、祖父ちゃんに」
「龍馬君のお祖父さんのお話はよく聞くわね」
龍馬自身の口からだ。
「いいお祖父さんね」
「俺もそう思います」
「龍馬君にいつも大切なことを教えてくれる」
「凄くいい祖父ちゃんです」
「じゃあそのお祖父さんの言葉を忘れないでね」
「それで、ですね」
「何でもやっていってね」
こう龍馬に言ったのだった。
「人生の」
「そうしていきます」
「それでね、それじゃあ」
「はい、長崎に行きましょう」
二人で笑顔で話しそのうえでコーヒーを飲んだ、そのコーヒーは長いお喋りの中で冷えていたが味はよかった。
長崎の高校では話題になっ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ