第10話『民を護る為に〜ティグルの新たなる出発』
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
込めて頂きます。
料理を運んできた婦人に、凱は見覚えがあった。モルザイム平原の戦いでザイアン率いるテナルディエ軍を撃退するのに、勝利を貢献した。リムアリーシャの策を成立させるため、大量にロープを収集してくれた尽力者の女性だ。
「ガイさんとルーリックさん、うちの料理はどうだい?」
「ああ……本当に旨いな。美味しい」
凱はやんわりとお礼を告げる。
「ありがとう」
何の飾り気のない凱の言葉に、婦人は相応もなく照れ隠した。素直に嬉しかったのだ。
そんな彼女の内心を隠すように、婦人は勢いよく声を張り上げて注目を集めた。
「この人は彼の有名な黄金の騎士様その人!あたいの店の常連様だ!」
「黄金の騎士!?」「ホントかよ!?」「この人が!?」
完全武装状態の凱と、解除状態の凱を見比べていないから、素の姿の凱を知らないのも無理はない。
その為、テナルディエ軍を撃退に成功した直後の宴では、ささやく程度の噂にとどまっていた。
ただ、黄金の騎士の活躍は、セレスタの住民が熱く語る為に、ライトメリッツ兵では現実味を帯びた噂となっていた。
不思議な風容を持つ凱に、大勢のライトメリッツ兵が押し寄せてくる。それだけじゃない。既に凱を知っているセレスタの住民も凱を包囲した。
「アンタが本当にあの黄金の騎士なのか!?」
「何でもオレ達が駆けつけるまで、たった一人でテナルディエ軍を迎え撃ったという……」
「領主様のおかげさまで私たちは助かりました!領主様が黄金の騎士様を呼んでくれたんですよね!?」
「ティグル様には本当に感謝してるんです!」
随分と物語が編算されているようだと凱は思った。
凱の隣にいたルーリックの困惑を他所に、凱はこの場を盛り上げる決起をする。
「おし!」
その表情は、どこか子供のように。それでいて、輝きに満ちていた。
「見て聞いて驚け!諸君!」
「イィィィィクィィィィップ!!」
「お……」「おおお!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
黄金の鎧ことIDアーマー装着時において、凱の細胞と融合している極小のGストーンは最大稼働する。そして、酒気を纏って心を緩めている皆のテンションをも最大稼働させた!
間がいいのか悪いのか、丁度ティグル、ティッタ、リムもその騒ぎの場所へ立ち会わせていた。
「俺は正義と自由の牙!そして、アルサスの剣!黄金の騎士だ!」
ジョッキを掲げて高らかに歌う。
「確かにテナルディエ軍は脅威であるが、心配には要らないぜ!」
その声は渇くことなく、凱の口上は続く。
「我らがヴォルン伯爵は!今この時もアルサスの平和と繁栄に心を砕いている!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ