第10話『民を護る為に〜ティグルの新たなる出発』
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滅界の僧侶。ホレーショー=ディスレーリ。第二次代理契約戦争の生き残り。
僧侶の教えとして不殺を貫いていたが、ある不幸な事件を切り目にして、帝国に流れ着いた過去がある。
不殺を破ったが故に破戒僧となり、大陸という箱庭で輪廻し、シーグフリードと出会った。
ノア=カートライトによれば、彼は今、テナルディエ公爵の傘下にいるらしい。
(一体、ノアとホレーショーは何をする気だ?テナルディエ公爵の配下になってまでして?)
ホレーショー。彼は不殺の答えを見つけることが出来たのか?凱が過去の感傷に浸っていると――
「ガイ殿?」「ガイさん?」
「ごめん、何でもない。授業再開といこうぜ」
栗色の髪をポリポリかじりながら、凱はなんとなく誤魔化した。そんな凱の呆気にとられた表情を見て、ルーリックとティッタは不思議そうに首を傾げた。
少し脱線したが、今日の課題もとりあえず予定通りに終える事が出来た。
次の日の昼中も相変わらず、3つの軍旗がひるがえっている。セレスタの面積と比較すると、なんだか埋め尽くされているように見えなくもない。
1つはアルサス。青地に弓矢。
2つはライトメリッツ。黒地に銀閃。
3つはジスタート。赤地に黒竜。
各勢力の軍旗が乱立している様を見て凱は思う。もう少し旗の数が整えば学校の運動会に使われる「万国旗」のような配列になるんじゃないかと。そんなセレスタの街中を一人の来訪者がやってきた。
しばらく徒歩を続け、ヴォルン家の屋敷に立ち止まる。呼び鈴とティグルへの用達に声を上げると、髪の長い青年が応対に出てきた。
今はヴォルン家の居候……獅子王凱だった。
「はーい。新聞はお断りですよっと……どなたですか?」
新聞どころか瓦版すらないのに、故郷への懐かしさがつい態度となって漏れる。そんな一人冗談をさておき、凱は来訪者と対面する。
来訪者の正体は「エレンの放った急使」である。
こういう時の対応を、凱は知っている。だからこそ、余計な追及はせずに要件を受け入れた。
何かを渡したいらしい。来訪者とて深く探るつもりはないようだ。ただ自分の任務を全うする為に。
「ティグルに用なら、リムアリーシャ様も読んできた方がいいな。少し待っていてくれ」
リムアリーシャは他国の、それも一公国主の副官である。ルーリックに対して気軽に接しているのは本人からの要望であるが、彼女の場合はそうはいかない。第一印象はかなりの生真面目に尽きた。凱の今の立場として、ティグルの侍女であるティッタよりある意味では下である。もともとライトメリッツとは深く関わるつもりも、長く付き合うつもりもないので、これ位の人間関係の距離が丁度いいと凱は判断した。
ともかく、凱は二人のいる2階の部屋へ足を運んで行った。
凱が扉
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